#336 Lombok Island(ロンボク島、インドネシア)

インドネシアのロンボク島は、しばしば「30年前のバリ島」にたとえられます。
豊かな自然の中で、昔ながらの慣習に従って暮らす人々の姿が残り、どこか懐かしい情景が広がっているからでしょう。

一方で、モダン化の波が急速に押し寄せている点も30年前のバリ島を思わせます。

ロンボク島の主要エリアといえば、クタやスンギギ、マタラムなど。加えて、マンダリカ経済特別区という政府主導の特区もお目見えし、ホテルやサーキット場の建設が進んでいます。
そんなロンボク島で気になっていたのが、デザインホテルズに加盟した2軒のリゾート。島の南部の、主要エリアからは離れた場所にあります。そして2軒ともこの2~3年のあいだに誕生したばかり。
まずは、姉妹が切り盛りする丘の上のヴィラリゾート「サムウェア・ロンボク」を目指しました。クタから車で10分程度走り、メイン通りから脇道に入ると、一気に山道に。未舗装のデコボコ道で、「この道でいいんだろうか?」「こんなところを走ったのがバレたら、レンタカー屋さんに怒られる」と、こわごわと進むこと10分弱。
不安もMAXを極めたころに、ようやくリゾートに到着しました。
風が吹き抜ける食堂兼ラウンジを抜けて、彼方に水平線を望むインフィニティエッジプールへ。遮るもののない大空が広がり、これまでのラフロードのドライブのドキドキ感も吹き飛びます。

眼下に見えるアレ・グリンビーチには、波をキャッチしようと待ち受ける数人のサーファーたちの姿が。混雑とは無縁ゆえ、波もゆずり合うピースフルな海です。

絶景プールのサイドに陣取るのは欧米人のカップルやファミリー。この圧倒的な眺めをゲスト同士でシェアしている、そんな共通の秘密を分け合っているような親密な空気も感じます。




2025.10.18(土)
文・撮影=古関千恵子