海を近くに感じる絶景ヴィラ

 海へと落ち込むような急斜面に、4列に分かれて20棟のヴィラが点在しています。独立型で、各戸は50平方メートル以上。キングサイズベッド、ラウンジエリア、バルコニー、プランジプールが基本形です。

 天井は見上げるほどの高さがあり、窓は視界が限定されるデザインのせいか、海が近くに感じられます。一番上と一番下の列のヴィラのビューがおすすめだそう。

 この絶景ヴィラは、クレアとヴァリアの、ゴンタード姉妹がはじめて手掛けたもの。インドネシア人と中国人の血を引く母とフランス人の父を持つ姉妹は、いわば自分たちのルーツである国でリゾートを始めたかったとか。

 クレアは家族とともに北部のマタラムに暮らしていて、この場所が好きで昔から通っていたそう。たまたま売りに出されていることを知ったときは、まったく予想外で驚いたけれど、買ってよかったと思っている、と言います。

 彼女の拠点のひとつである香港の建築家にコンセプトデザインを描いてもらい、ロンボク在住の建築家とスペイン人建築家に技術図面と施工図を依頼。実は、ここからが大変だったと言います。

 彼女たちの両親は異業種から北海道・ニセコでホテル業をスタートさせたことがあり、クレアはそれを手伝った経験がありました。その経験を踏まえてのこのリゾート建設でしたが、日本とインドネシアとでは状況が大違い。仕事のスピードも、やり方もまったく事情が異なりました。そのうえ、建設がコロナ禍に重なったため、建築資材が届かない、などのトラブルも……。

 それでも、家族のルーツであり、故郷のように感じる場所だから、と思い入れもたっぷり。インテリアや調度品はクレアとヴァリアが担当したそうです。

 手触りのいい陶器のランプ、ロンボク島を拠点とする「MAMI」の編みカゴ、手織りのテキスタイルなど、どこかボヘミアンシック。滞在中ビーチへ持っていくバッグは、プラスチックをリサイクルしたもの。どれも地元の産業をサポートする役割も担っているそう。

 ゲストはバルコニーのプールに浸かったり、本を読んだり、部屋でお酒を飲んだり、メインプールで絶景を堪能したり。思い思い時間を過ごしているもよう。

 今後は、ジムやヨガパビリオン、アイスバーなどを加えて、パブリックエリアを充実させたい、とクレアは目を輝かせます。姉妹の思いがこもった絶景ヴィラ、これからが楽しみです。

ロンボク島

●アクセス バリ島ングラ・ライ国際空港から国内線で約30分。ロンボク国際空港から車で約40分。
●おすすめステイ先 Somewhere Lombok
https://www.somewherelombok.com/

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki

Column

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2025.10.18(土)
文・撮影=古関千恵子