思わずニヤリ。曲芸するネコや文字に化けるネコなど
さあその国芳らしい、「かわいい」では済まないウィット溢れるネコ尽くし絵のバリエーションをご覧いただこう。
右:歌川国芳「猫の当字 かつを」個人蔵(前後期展示)
日頃、毬にじゃれついて遊ぶのが本来の猫たちが、袴姿でマジメに芸を披露するだけでもおかしい「流行猫の曲鞠」だが、その袴の柄に小判や鈴を合わせているのは、芸が細かく、なんともおしゃれ。
一方、餅のような柔らかさを生かして(?)、猫たちが自分の身体を使って文字を象り、好物である魚の名称を表す、という「猫の当字」シリーズは、絵であるのと同時に、「ネコタイポグラフィ」でもある秀作だ。
右:歌川国芳「流行猫じゃらし」個人蔵(前後期展示)
また国芳が得意とした、さまざまなものの寄せ集めで、別のものを作り上げてしまう「寄せ絵」の手法を用いて、19匹の子ネコから1匹の大ネコを作り出した歌川芳藤の「小猫を集め大猫にする」も見逃せない。
さらに現在では1点しか確認されていない国芳の「流行猫じゃらし」、今回が初めての展観となる団扇絵などの珍しい作品、土人形やボードゲームなど、こども向けのネコおもちゃも併せて、江戸っ子たちがネコに向けてきた優しい眼差しを楽しんでほしい。
太田記念美術館「浮世絵猫百景 ─国芳一門ネコづくし─」
会期 6月1日(金)~7月26日(木)
前期:6月1日~26日、後期:6月30日~7月26日(前期後期で展示替えあり)
休館日 月曜休(祝日の場合は開館、翌日休館、6月27日~29日の展示替え期間休)
開館時間 10時半~17時半(入館は17時まで)
料金 1000円
問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL www.ukiyoe-ota-muse.jp/H240607nekozukushi.html
Column
橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」
古今東西の仏像、茶道具から、油絵、写真、マンガまで。ライターの橋本麻里さんが女子的目線で選んだ必見の美術展を愛情いっぱいで紹介します。 「なるほど、そういうことだったのか!」「面白い!」と行きたくなること請け合いです。
2012.06.09(土)