観客席の女性たちは装いで火花を散らす
フレミントン競馬場の最寄であるフレミントンレースコース駅へは、フリンダースストリート駅やサザンクロス駅、ノースメルボルン駅から直通電車が出る。メルボルンカップの朝は、おめかしをした人たちで電車がいっぱいになる。
競馬場に入場するには、事前に入場券を買っておく必要がある。すでに朝早くから会場に入るための列ができている。メインスポンサーはエミレーツ航空。「エミレーツメルボルンカップ」という名前が飾られたゲートの前で記念写真を撮る人も多い。
メルボルンカップには、日本からも出走馬が参加していて、2006年には優勝と2着を独占したこともある。今年もフェイムゲームとホッコーブレーヴという2頭が参加。
場内は、競馬場というより屋外パーティのような雰囲気だ。さらにスポンサーがブースを出す「バードケージ」と呼ばれる招待制のエリアがあって、ここは、数々のセレブリティが訪れることで有名で、サラ・ジェシカ・パーカーやナオミ・キャンベル、そしてダイアナ妃も姿を見せたことがあるという。
メルボルンカップは賞金総額620万豪ドル、優勝者には18金のトロフィーが授与されるなど、豪勢さもピカイチなレース。バードケージのブースはもちろん、一般席にある大テントやレストランでもこの日はシャンパンを傾けながらみんなご贔屓の馬談議に花が咲く。
全10レース中の第7レースがメルボルンカップ。いよいよ出走の時刻が来る。3200メートルという長距離でターフ(芝生のコース)を2周するので、正面でひと際、応援の声は高まる。
「おー」というどよめきが起こったゴール。今回、レースを制したのはプリンスオブペンザンス、騎乗したのはメルボルンカップ史上初の女性騎手ミッシェル・ペインだった。残念ながら日本馬は、2頭とも3着内に入らず圏外。しかし、これだけのお洒落な観客と一緒に盛り上がる一体感は最高だ。
レースの興奮も冷めやらぬ中、お洒落を決めこんだそのままの格好で、メルボルン名物の「コロニアル・トラムカー・レストラン」に向かう。1日に3回運行していて、私が乗ったのは早めのディナー。
右:窓にはメルボルンの街並みが流れて見える。
トラムカーに乗って1時間半、街の中を走りながら3品コースの食事を楽しむことができる。どうやってこの小さなトラムカーの中でここまでの食事を作れるの? と不思議に思うほど。私が選んだビーフは、焼き加減も抜群のミディアムレアのステーキだった。人気のビーチであるセントキルダあたりまでメルボルンのかわいい街並みを見ながらの食事は、なかなか楽しい。
The Colonial Tramcar Restaurant(コロニアル・トラムカー・レストラン)
所在地 Tramstop 125, Cnr. Normanby Rd & Clarendon St, South Melbourne VIC 3205
電話番号 +61-3-9695-4000
URL http://www.tramrestaurant.com.au/
2015.12.22(火)
文・撮影=小野アムスデン道子