オーストラリア最大の競馬レースは お洒落に着飾った女性も集結する祭典

オークスデーランチはまさに女性のためのイベント！

 翌朝の新聞の一面を飾ったのは、もちろん優勝騎手ミッシェル・ペインと馬のプリンスオブペンザンス。ミッシェル騎手は、生後まもなく母親が交通事故でなくなるなどの苦労もありながら、女性騎手として初めてメルボルンカップの勝利を勝ち取った。今日のお昼に、メルボルンカップに伴うイベントの一つである「オークスデーランチ」にゲストでスピーチに現われるという。

「ケトルブラック」のミューズリー。見た目も美しいヘルシーな朝ごはん。

 朝は、宿泊した「ロイス・ホテル」の近所にある人気のカフェ「ケトルブラック」へ。コーヒー文化を誇り、こだわりのあるカフェの多いメルボルンでも、この「ケトルブラック」は、コーヒーやお茶へのこだわり、パンやケーキはじめカフェメニューのおいしさが評判で、かわいい店内は朝からお客さんでいっぱいだ。エディブルフラワーで華やかに飾られ、自家製ヨーグルトにチアシードやココナッツクリームが入ったミューズリー(シリアル)に目を見張る。

 お昼のオークスデーランチに向けて、朝食は軽く。今日のお昼もまた、お洒落度抜群のパーティ・イベントなのだ。会場の「クラウン」に到着してびっくり。メルボルンカップを上回る数の、帽子とドレスの女性が会場を埋め尽くしている。

花が飾られ、ピンクや紫のライトが照らす会場にはお洒落した女性がいっぱいで、圧倒されそうなくらい華やか。

 そして、そこに登場したのがメルボルンカップ優勝のミッシェル・ペイン騎手。その可愛さにびっくりすると同時に「騎手は男性社会で、今まで男性のみしか優勝してこなかったが女性にもできるはず」という強い信念にも感動。誇らしい気持ちがこちらにも伝わる。

壇上に立ったミッシェル・ペイン騎手(左)に大きな拍手が送られる。

 卓上には華やかな花が飾られ、花模様のライトが会場を照らす。シャンパーニュの乾杯で食事が始まり、最後は賑やかなライブでみんなが席を立って踊り出すパーティ。スポンサーからいろいろなプレゼントの入ったバッグも提供された。まさに夢のような時間で、チケットが売り出されると即完売することにも納得。

オークスデーランチの会場で記念写真を撮ってもらう女性達。まるでスターのよう。

 11月1日からは、メルボルンカップを中心に、その他のレースやこのオークスデーランチを含んで、メルボルンカップ・カーニバルといわれる華やかなイベント期間になっている。日本でもこんな素敵な競馬イベントがあったらと羨ましく思うほど。

左：落書きというよりアートなグラフィティが多い「セント・アリ」。
右：落ち着いた店内では、コーヒー片手にゆっくり時間が過ごせそう。

 メルボルンカップ、トラムカー・レストラン、オークスデーランチと続いた夢のような時間の後は、メルボルンの誇るコーヒーカルチャーを味わいに、コロンビアに直営農園まで持ち、原産豆と淹れ方にこだわるカフェ「セント・アリ」に行く。ヤラ川の南、サウスバンクのアバンギャルドなストリートアート(グラフィティ)に囲まれた有名店だ。

左：ブレンドと単品の豆、ラテ、ロースト、フィルターなど6種類が並ぶサンプラー。
右：一つ一つ丁寧にバリスタが淹れる。

 一見、倉庫と思われるような外観だが、中に入ると、コーヒーのとてもいい香りが立ちこめて、別世界のよう。そして、コーヒーを口に含んだ時のふくよかな感じや後味のよさに驚くはず。名バリスタが淹れてくれる一杯も雰囲気も、どこかアーティスティックにすら感じる。豆や淹れ方などが異なる6種類を楽しめるサンプラーを味わう。

左：ここはイタリア？ という感じの「グロッシ・フロレンティーノ」の店内。
右：タコのフリットは柔らかく、ディルの香りがよく合う。

 メルボルン最後の夜は、イタリア料理の名店「グロッシ・フロレンティーノ」へ。ヨーロッパにいるかのような落ち着いたインテリアに、ぱりっとしたエプロンを着けてきびきびと働くウェイターたち。そしてカニがたっぷりのソースに小麦の風味を感じるアルデンテな手打ちのパスタには「ボーノ(おいしい！)」と声を上げてしまいそう。メルボルンで人気の老舗の味は間違いないのだった。

2015.12.22(火)
文・撮影＝小野アムスデン道子