風車を回して幸運を引き寄せる、ありがたい寺院で初詣

 街中に赤や金色のランタンが飾られ、いつにも増して華やかな香港の旧正月。元日は営業していないショップやレストランも多く、ブランドショッピングなどには不便を感じるかもしれないが、この時期しか体験できないものがある。

 そのひとつが、初詣。日本と同じく、香港の人も一年の幸福を願って寺院にお参りをする。そのスタイルは日本とちょっと違っていて、一緒にお参りしてみるのも面白い。

初詣といえば、ココ! 沙田にある車公廟は旧正月の2日目が、初詣のピーク。

 香港で有名なお寺といえば、占いで有名な「黄大仙」や、巨大な大仏様で知られる「宝蓮寺」。そして、幸運をもたらすとされ、人々に慕われている「車公廟(チェーコンミウ)」。宋の時代の将軍だった車公を祀る、300年以上の歴史を誇る寺院だ。旧正月2日は、ちょうど車公の誕生日。この日は、車公の生誕を祝いつつ、初詣をする人で賑やかになる。

もともとお寺は小さかったものの、多くの参拝客が訪れることから、1994年にお寺を再建設し、現在のような立派な建物にしたのだそう。

 車公廟にお参りに来た人がここで必ずすることといえば、「風車(かざぐるま)を回すこと」。この廟にある風車を回すと、運気が好転するのだとか。

小さな子どもも、車公廟のシンボルである風車のおもちゃを持って楽しそうにお参り。

 風車といっても、一見すると小さな銅製の扇風機。でも、香港の人たちにとっては、とてもありがたい開運の風車だ。まずはお線香を供えて、風車を時計回りに3回転、というのが願掛けの作法。欲張って3回以上回すと、良い運気まで逃げていってしまうので要注意。さらに、すぐそばにある太鼓をドンドンと叩き、自分が来たことを神様に伝えてお参りは終了。

風車と太鼓は普段は本殿内にあるが、初詣の時期は大混雑するため、屋外に設置。効率よく次から次へとお願いができるのも、さすが香港。

 お寺の前には、風車をかたどったアクセサリーや、お守りを売る屋台もずらり。「萬事勝意」「合家平安」など、幸運を願った言葉が書かれたカラフルな風車はかわいらしくて、お土産にもよさそう。

左:境内や廟の前では、真っ赤なお守りや開運グッズを販売。
右:占いコーナーもあり。誰もが真剣な面持ちで、占い師の声に耳を傾ける。

 なお、車公廟がある沙田(シャーティン)というエリアには国際クラスの競馬場もあって、旧正月競馬会も開催される。お参りして幸運をゲットした後は運試し、というのもいいかもしれない。

2015.03.15(日)
文・撮影=芹澤和美