アートの薫り漂うカフェで本格派コーヒーを

「アイサイクル・スポーツ」のカフェも自家焙煎。自転車へのこだわりとコーヒーへのこだわりを満たす店。

 で、こんな極北の田舎ホワイトホースだが、鄙には稀なおいしいコーヒーが飲めるカフェがある。しかも何軒も! 自家焙煎、オーガニック、フェアトレードにこだわったコクのあるコーヒー。カナダに一度でも行かれたことのある人ならご存知の、国民的カフェ「ティム・ホートンズ」ももちろん健在なのだが、これら本格的なカフェの信奉者は多い。

どう見てもサイクルショップ。実は右横にカフェの入り口があるのだが、知る人ぞ知るジモティ御用達。レンタサイクルもやっていて、スキー店になる冬季はスキーのメンテナンスもやってくれる。

 こだわりのコーヒーを提供するサードウェーブコーヒーは世界的なトレンドで、バンクーバーにもそんなカフェが多い。その発祥ともいわれるカリフォルニア州オークランドの「ブルーボトルコーヒー」の影響が北上したのかどうかは分からないが、アーティストやミュージシャンの多いホワイトホースの街の雰囲気も大いに関係がありそうだ。みんな量より質を求める生き方。コーヒーはその象徴みたいなものなんだろう。カフェがギャラリーの役割をしているのも特徴。だいたいのカフェには地元アーティストの作品が展示されている。

「アイサイクル・スポーツ」のカフェにずらり並んだオーガニックのコーヒー豆。ジモティたちはたいてい保温効果のあるマイボトルを持参して、入れてもらっている。
店内ディスプレイ?? スケールの大きいユーコンでは、ワイルドでヨシ。

Icycle Sport(アイサイクル・スポーツ)
所在地 9002 Quartz Rd, Whitehorse, Yukon, Canada
電話番号 +1-867-668-7559
URL http://icyclesport.com/

ランチはいつも満員の「ベイクド・カフェ+ベーカリー」。ピザやキッシュ、ベーグルに本格コーヒーが飲める。

 さらに面白いことには、各カフェさまざまなのだが、注文を受けてからハンドドリップで一杯ずつ淹れる店もあれば、ハンドドリップだがポットにつくり置きして客が自分でカップに注ぐ店もある。ポットつくり置き方式はカナダでよく見かけるが、こんなに豆にこだわっているのにネと、ちょっと日本人には不思議。こうした大らかさも国土の広いカナダといえばカナダなのか。

 ともあれ、カナダのデフォルトである薄いコーヒーに辟易した身にはアリガタイ本格コーヒーが、ホワイトホースでは飲めます!

左:コーヒー豆は地元の焙煎メーカーだけでなく、バンクーバーなどからも仕入れている。
右:「ベイクド・カフェ+ベーカリー」の入っている小さなモールには、他にも小洒落た店があるので一見の価値あり。

baked café + bakery(ベイクド・カフェ+ベーカリー)
所在地 108-100 main street, Whitehorse, Yukon, Canada
電話番号 +1-867-633-6291
URL http://bakedcafe.ca/

大沢さつき(おおさわ さつき)
大好きなホテル:LAPA PALACE@リスボン
大好きなレストラン:TORRE DEL SARACINO@ソレント
感動した旅:フィリピンのパラワン島ボートダイビング、ボツワナのサファリクルーズ、ムーティ指揮カラヤン没後10周年追悼ヴェルディ「レクイエム」@ウィーン楽友協会
今行きたい場所:マチュピチュ

Column

トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート

大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!

2015.09.15(火)
文・撮影=大沢さつき