グループとは色の違うソロ活動、そして俳優デビュー
――北海道とほかの地方とのヒップホップ・スタイルは、どのように違うんでしょうか? また、地元愛についても教えてください。
大きなスタイルの違いはないんですが、ヒップホップって、その土地柄が反映される音楽だと思うんですよ。たとえば沖縄は一年中暖かいので明るい感じですが、北海道は冬が厳しいのでちょっとダウナーな感じとか、その土地の特色が出る。ファッションでも、北海道はノースフェイスのダウンジャケットを着ている人が多いとか特徴がありますね(笑)。ヒップホップでよく使われるレペゼン(代表)という言葉があるように、北海道から出ようという考えじゃなく、今より広いフィールドで活躍することで、「自分は北海道出身」ということをアピールしていきたいですね。
――その後、06年にはFMラジオの音楽番組のパーソナリティーに抜擢され、08年にはソロアーティストとしても活動しますが、ソロ活動をどのように捉えていましたか?
ラジオは、メンバーの中で英語も喋れるし、いちばん適していたから声をかけてくれたんだと思います。日本のヒップホップや外国のトレンドを紹介したり、地元のアーティストの楽曲をかけるところに重きを置いた番組だったんですけど、特に話が巧いわけではないです(笑)。でも、日本のヒップホップ・シーンを掘り下げていくことで、自分自身もとても勉強になりました。6人で活動するときは、ダークでアヤしいカッコ良さというグループの色もあるし、6人で100%を目指す考え方。でも、ソロのときは1人で100%、もしくはそれ以上の自分を提示するものなので、必然的に考え方は変わっていると思います。たとえば、ソロでは休日をテーマにした歌だったり、普遍的な歌詞が多いんですが、これまでヒップホップを聴いたことがない人も感情移入ができたり、共感してもらえたりすることに重点を置いて作っています。
――そして、園子温監督の最新作『TOKYO TRIBE』の主人公・海役に大抜擢されたわけですが、これはオーディションだったのですか? また、リアルに原作を読んでいた世代であるYOUNG DAISさんにとって、今回の映画化はどのように捉えていますか?
“バトルラップ・ミュージカル“ということで、園監督がリアルに活動するラッパーと会って話をするという機会があったので、僕もレコーディングスタジオで監督とお会いして、15分ぐらい生い立ちや曲についてお話ししたんです。それをきっかけに後日、オーディションを受けることになりました。原作のマンガはファッション誌の連載で、アメリカに行く前、15、6歳のときに読んでいたんですけど、その後アニメにもなったので、最終形態としての映画という印象です。今のタイミングだからこそ、絶妙で良かったんじゃないでしょうか。僕のような世代にとっては「お、久しぶり!」というような感じでしたから(笑)。
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2014.08.22(金)
文=くれい響
撮影=三浦英絵