「もっと強く揉んで」は危険なサイン

富永 マッサージすれば、血行がよくなって一時的にすっきりするけれど、根本的な解決にはなりません。だから、また同じところが痛くなる。こりや痛みがどんどん強くなって、ついには毎日ビール瓶で叩いているっていう人もいるけれど、それってとても危険なんですよ。

小西 ゴルフボールで刺激している人もいますね。

しきりに鎖骨の下を触る小西さんに、先生が「首の神経は鎖骨の下にものびているので、そこも痛いはず」とズバリ。

富永 痛みって、新しい痛みの情報を与えると、前の痛みを忘れるようにできてるんです。だから、どんどん強い刺激で前の痛みを消す。「痛いon痛い」です。でも、それをやってると筋肉の繊維が壊れて、筋肉はますます硬くなり、痛みを感じやすくなるのね。それを解消しようと、さらに激しくビール瓶で叩くと……。

小西 うわ、悪循環ですね。

富永 マッサージでも、よくいませんか?「もっと強く揉んでください」って言う人。

小西 ドキッ! それ、私です。確かに、行くたびにもっと強くって言ってる(笑)。マズイですね……。

こりが溜まるとマッサージ店に駆け込んでしまうという小西さん。

富永 そうなって痛みを痛みでごまかしてるとどうなりますか? エンドレスですよ。

小西 でも、本当に肩がバリバリで痛いときって、頭痛やめまいまで起きることがあって。それがマッサージで解消するからやめられないんです。

富永 先ほどもお話したように、こりや痛みのあるところが根本的な原因とは限りません。だから、また同じ姿勢、同じ生活になれば、すぐもとに戻っちゃう。根本的な解決を考えないと、治らないばかりか重症化するだけです。結局、受け身じゃなくて自分からポジティブに調整してゆかないと、よくはならないんです。

小西 なるほど、マッサージに頼りすぎないほうがいいんですね。どうしたらいいか、ぜひ教えてください!

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2014.11.02(日)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=鈴木七絵