Column：トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート

バンクーバーのレストランのシーフードがおいしい驚きの理由

TRIP

2014.7.8

水族館が牽引する海洋資源保護に参画した最初のレストラン

地元でもシーフードが一押しという人気の「Cレストラン」はスタイリッシュ。

そんなバンクーバーで、シーフード料理が人気なのが「Cレストラン」。バンクーバーマガジンなどのアワードで数々の賞も獲得している。

このレストランがすごいのは、「ベストな食材を手に入れる」というだけではなく、そのために「食材を守る」という運動をサポートしてきた点。この「Cレストラン」の元エグゼクティブ・シェフであるロバート・クラーク氏は「地元の海で獲れたシーフード、そして旬の地産の農産物を使うことで、人々が太平洋岸北西部の料理を味わいに集まってくる」と以前から考え、そのために行動してきた。

バンクーバーで海洋資源を守る運動を始めたのは、地元のバンクーバー水族館だ。

この水族館は、展示や教育、研究を通して海洋資源保護に貢献する非営利団体という運営方法をとっていて、持続可能な漁業と海洋資源の保護を促進していくために「オーシャンワイズ」というプログラムを2005年に作った。

これは「生態系を破壊するような漁獲方法をとらない」「数の減少が危惧される海洋生物を獲らない」「環境に優しい養殖方法を行う」など、一定の条件を満たして漁獲された水産物の食材にロゴマークを与え、消費者がそのロゴマーク付き食材を使用するレストランや小売業者などのサステイナブルな姿勢を評価することで、海洋資源の保護に協力できるようにしていける仕組みだ。

「Cレストラン」にて。ホタテは、ジューシーで、おおぶりなのに海のうまみが凝縮していた。

しかし、肝心なのはこのプログラムの趣旨をレストランなどが理解して、協力してくれること。当然、使う食材に制限が出るので、協力を得るのは当初、簡単ではなかった。

そんな中、この「Cレストラン」こそ「オーシャンワイズ」に参画した最初の一店だった。「おいしいシーフードを提供するために何より大切な海洋資源は無限ではない」ということを早くから認識して、積極的に水族館に協力をしたという。その後、このプログラムに賛同するレストランやマーケット、水産業者はバンクーバーからカナダ全域に広がった。

海洋資源保護の必要性は、舌で理解するのが一番かもしれない。自然に恵まれ、おいしいシーフードを愛してやまないバンクーバーから、「オーシャンワイズ」運動が始まったのもうなずける。

C Restaurant (Cレストラン)
所在地 2-1600 Howe St. #2, Vancouver, BC V6Z 2L9, Canada
電話番号 +1-604-681-1164
URL http://www.crestaurant.com/

【資料協力】
ブリティッシュ・コロンビア州観光局
URL http://www.hellobc.jp/

小野アムスデン道子 (おのアムスデンみちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel