ドラマ「愛の不時着」で世界に名を轟かせた、韓国を代表する俳優ヒョンビンが主演映画『ハルビン』(7月4日公開)の公開に合わせて来日した。映画は、祖国独立を目指すアン・ジュングン(安重根)たちが、伊藤博文を追いかけ極限状況に追い込まれながらも中国ハルビンを目指す、というサスペンス超大作で、ヒョンビンがアン・ジュングンを、リリー・フランキーが伊藤博文を演じ、その熱演に加え、マイナス40度の氷原の映像美など見どころがたっぷりだ。ヒョンビンと監督のウ・ミンホ(『KCIA 南山の部長たち』)に話を聞いた。

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歴史的事件の主役となった青年アン・ジュングン
――映画の中のアン・ジュングンは純粋すぎるほど純粋で、たとえ敵であってもまずは信じることを選びます。その高潔な、純粋すぎる人物を演じる上で、ヒョンビンさんはどのように役作りをされたのでしょうか?
ヒョンビン 基本的なアン・ジュングンの信念というのは、国権を回復させることだったと思います。そして、そのために不要な犠牲を払うことがないように、というのが彼の考えだったんですね。彼のセリフの中に、「万国公法の軍人のルールに従う」という趣旨のことがありますが、彼は人間というものを尊重する高潔な心を持っていた人だと思うんです。同僚たちの中で不信感が渦巻いても、彼は信念をもとに、未来に対する希望を持ち、同僚を信頼する姿が描かれています。これこそが彼の人となりのベースにあるんだと思いながら、演じていました。
――演じるのは難しかったですか?
ヒョンビン ええ、とても難しかったですね。ただ監督が考えるアン・ジュングン像というものがあり、そこへ向かってディレクションしてもらいました。
――監督も、純粋すぎる青年としてのアン・ジュングンという人物を描いているように感じられました。
2025.07.29(火)
文=石津文子