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 新潟・北西部の日本海に浮かび、特別天然記念物のトキの生息地やかつての金鉱山で知られる佐渡島。一周わずか280kmと小さな島は、対馬海流の影響により冬の平均気温は本州より1〜2度暖かく、夏は本州より1〜2度涼しいなど、一年をとおして過ごしやすい場所でもあります。

 そんな佐渡に残る原風景や独自の文化に触れるべく、映画『ゴールデンカムイ』で演じた月島 基の故郷として縁のある俳優・工藤阿須加さんとともに聖地巡礼の旅に訪れました。

 今回は、佐渡・小木半島の人々の生活になくてはならない漁具であったたらい舟「はんぎり」に乗って、海上クルーズを体験!

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あの月島軍曹も乗っていた「はんぎり」とは?

 漫画『ゴールデンカムイ』を読んだことがある人は、月島軍曹こと月島 基が故郷に帰り、たらい舟に乗りながら恋人を探すシーンが印象に残っていることでしょう。

 この木製の円形船は佐渡では「はんぎり」と呼ばれています。江戸時代から明治時代にかけて漁業や沿岸の短距離移動、荷物の運搬手段として活躍し、とくに佐渡島の沿岸地域で使用されてきました。

 というのも、1802年に起きた佐渡小木地震により、海底が隆起した岩礁地形が広がる小木半島では通常の船が使えない状況になってしまったから。漁を続けるために背の高い桶を半分に切って使ったことから、「はんぎり」と呼ばれるようになったと言われています。

 事実、丸く浅い船体は小回りが利きやすく、狭い入り江や岩場の多い小木半島の海に適していました。

 今や日本では佐渡でしか見ることのできないたらい舟。今回は小木半島にある「宿根木・はんぎり」で、はんぎりを体験させてもらいました。

2025.03.29(土)
文=CREA編集部
写真=佐藤亘
動画=VECKS
ヘアメイク= 中嶋竜司
スタイリング=伊藤省吾