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 新潟・北西部の日本海に浮かび、特別天然記念物のトキの生息地やかつての金鉱山で知られる佐渡島。一周わずか280kmと小さな島は、対馬海流の影響により冬の平均気温は本州より1〜2度暖かく、夏は本州より1〜2度涼しいなど、一年をとおして過ごしやすい場所でもあります。

 そんな佐渡に残る原風景や独自の文化に触れるべく、映画『ゴールデンカムイ』で演じた月島 基の故郷として縁のある俳優・工藤阿須加さんとともに聖地巡礼の旅へ。

 冷静かつ忠実な月島の魅力を見ごと再現した工藤さんに、月島への想いや、彼の故郷である佐渡の魅力について語ってもらいました。

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月島はとても人間くさいキャラクターで初めから好感を持ちました

ー―劇中で月島 基を演じられましたが、演じる前から一番好きなキャラクターとして月島軍曹をあげていました。

 最初は単に冷徹に任務を遂行する人間というイメージでした。でも彼が抱えるバックボーンが明かされていくうちに、心の揺らぎや、完璧ではないにせよ徐々に目に光が宿っていく彼の姿に惹かれていきました。

ーー月島 基を忠実に再現されていましたが、彼の生き様やキャラクターについてどう捉えていましたか?

 故郷の佐渡島に住む想い人、いご草ちゃんが亡くなった原因が自身の父親にあったと考えた月島は、幼少期の父親のふるまいなど、これまでのこともあり父親を殺害し、死刑囚となります。ところが、獄中で鶴見中尉から彼女が生きていると知らされ、生きる気力を取り戻すとともに、釈放され、彼についていく人生が始まるわけですよね。

 でも、時を経て、鶴見中尉は嘘をついていたということが発覚してしまう。何が本当で何が嘘なのか。周囲の思惑と運命に翻弄されることで、普段は冷静、むしろ冷徹とさえ言える月島の感情が大きく揺らぐ。まず、その姿にぐっと惹き込まれました。

 一方で杉元や鯉登などさまざまな登場人物とも出会うことで、少しずつ絶望と思われる状況の中から光を見出していく。葛藤を抱えながらも、鶴見中尉についていくと決断する彼の姿はとても印象的でした。

 映画の劇中ではそこまでのストーリーはまだ描かれていませんが、その揺らぎのなかで、なんとか強く生きていこうとする様はとても人間くさいというか、人間味があふれるキャラクターというふうに認識していました。

2025.03.29(土)
文=CREA編集部
写真=佐藤亘
動画=VECKS
ヘアメイク= 中嶋竜司
スタイリング=伊藤省吾