この記事の連載

現役のはんぎりもすべて手作り! 高度な職人技が光る

 そもそも、はんぎりはどのように作られているのか。実際に体験する前に、まずははんぎり職人を務める金子さんに話を聞くことに。

 はんぎりの大きさは、直径約1〜2メートル程度。一艘につき40枚くらいの杉の板が使われており、楕円形に切り取られた舟底に合わせて側面を組み立てていきます。円柱状に隙間なく組み立てるため、板をカンナで削り丸みをつけなければならず、そのバランスを取るのがとても難しいそう。

 和製舟の技術に加えて、木が腐りにくい面を水に接するように部材を配置したり、竹タガと竹釘で部材を接合したりするなど、桶樽の製作技術が取り入れられている点も特徴です。

 最盛期は、小木半島には多くのたらい舟職人が存在しましたが、次第にその数は減少。一時は職人がいなくなってしまい、製造が途絶えたこともあるそうです。

 そこで貴重な伝統文化を途絶えさないため、はんぎりによるクルージングを事業化。さらに手づくりで舟の製造を行うことで、その技術を後世に引き継いでいるのです。

2025.03.29(土)
文=CREA編集部
写真=佐藤亘
動画=VECKS
ヘアメイク= 中嶋竜司
スタイリング=伊藤省吾