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蕎麦そのものの風味を楽しむ

　ところで新蕎麦の話をふっておいて何ですが、こちらでぜひ食べて欲しいのが“玄挽き蕎麦”。玄米と同じような殻付きの蕎麦の実で仕立てた蕎麦を指します。いわゆる“田舎蕎麦”のようなイメージです。というと、太いものをイメージされる方も多いと思いますが、こちらのは更科のような細打ち。つるつるといけてしまうのに、蕎麦の風味はしっかり味わえるというもの。

左が殻付きの玄蕎麦、右が「丸抜き」と呼ばれる剥いた状態の蕎麦の実。
左が殻付きの玄蕎麦、右が「丸抜き」と呼ばれる剥いた状態の蕎麦の実。
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　蕎麦の仕入れは、店主の北橋さんが信頼できる農家さんへ直接出向いて。関東近郊では栃木県益子や長野県、そして北海道までも。全国各地にご自身で出かけ、その目と舌で確かめ、気に入ったものをそのつど仕入れています。

蕎麦を打つ、真剣な横顔が素敵な店主・北橋悠人さん。
蕎麦を打つ、真剣な横顔が素敵な店主・北橋悠人さん。

　つゆは本枯れの鰹節、そうだ鰹節、昆布、椎茸などを合わせ、あくまでも蕎麦の味わいを引き立てるものとして、芳醇すぎないように仕上げているとのこと。

おすすめの「玄挽き」1,300円。
おすすめの「玄挽き」1,300円。

　また、近年作り手が減り、なかなかいいものを手に入れるのが難しくなってしまったという蕎麦を盛り付けるざるは、お蕎麦屋さんを営んでいた知人から分けてもらった貴重なものだし、器は作家さんに依頼してこのお店用に作ってもらうなど、蕎麦のみならず、細部にまでこの空間で蕎麦を味わってもらうための配慮がなされていました。

女性に人気という湯葉と豆腐がのった冷たい蕎麦「ゆばとうふ」1,850円。
女性に人気という湯葉と豆腐がのった冷たい蕎麦「ゆばとうふ」1,850円。
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2024.11.15(金)
文＝赤澤かおり
写真＝榎本麻美

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