病気や年齢を重ねる人生の変化をも肯定し、泥臭い自分さえも誇らしく愛する西加奈子さん。自分に正直に、とことん向き合う生き方とは。人生に「希望」を見出すためのヒントを聞いた。


かっこ悪い私も丸ごと抱きしめる

 2021年に乳がんの診断を受けた西加奈子さん。病、そして自分自身と向き合い見つけた、希望の育て方とは――。

「答えの出ない悩みを抱えることがあります。でも、それはたった一つしかない愛おしい私の体が抱えた大切なもの。安易な対処策で解決を急がず、必死に向き合う時間も尊いと思うようになりました」

 向き合うとはどういうことなのか。「もやもやした時、自分と徹底的に話し合います。逃げ道をつくらないよう矢継ぎ早に自分に問いかける。そうして解体していくと、自分のかっこ悪い部分やイヤなところに辿り着きます。正直しんどいけれど、自分に嘘をつくことがなくなるから、自分をめっちゃ好きと思えるようになりました」

 「希望」の捉え方にも大きな変化が。

「私の場合、希望とは自由であることでした。ですが、病気で動けなくなり、以前走れていたビーチに座り込んだ時、目に入った海が美しくて。それで気づきました。今の希望がなくても、また別の希望があると。いつか歳を重ねて体の自由が利かなくなったとしても、今ある環境がなくなっても自分を好きでいられるよう自問自答を重ねて“修行”をしています」 

 年齢を重ねることにも前向きだ。「例えば、シワやシミをつくらないために泳がない人生より、できるかもしれないけど、思い切り泳ぐ人生がいい。それを「よう頑張ったな」「お疲れさん!」と背中を押してくれるスキンケアを選びたい。シミやシワも人生を楽しんできた証拠。その生きた証を“悪もの”と捉えるのではなく、『よう頑張ったね』と寄り添ってくれる、そんなスキンケアなら、相棒としてつきあっていけそうです」

西加奈子(にし・かなこ)

小説家。1977年テヘラン生まれ、大阪育ち。2004年『あおい』でデビュー。『通天閣』で織田作之助賞、『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、『サラバ!』で直木賞を受賞。

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西加奈子さん衣装

パンツ 73,700円/ヨウヘイ オオノ その他/スタイリスト私物

次の記事に続く 歳を重ねることは、進み続ける証――齋藤薫

CREA 2026年秋号
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