福岡県柳川市。水郷のまちの中心に、江戸時代から続く旧柳川藩主・立花家の屋敷があります。それが「柳川藩主立花邸 御花」(以下、御花)。7000坪の敷地全体が国指定名勝に指定された、日本で唯一の「泊まれる国指定名勝」です。
明治維新ののち、伯爵家となった立花家は、迎賓館「西洋館」、池庭「松濤園」、庭に面する約100畳の「大広間」など、今に残る近代和風建築を築きました。
そして戦後、華族制度が廃されてからも、文化遺産であるこの屋敷を手放してはならないという思いのもと、16代の手で料亭旅館として生まれ変わり、今なお立花家の末裔が歴史を受け継いでいます。
昨年、宿泊棟やロビーが大きくリニューアルされ、300年近い歴史に新しい息吹が加わりました。次の100年を見据え進化し続ける御花の魅力をご紹介します。
リニューアルで誕生した特別和洋室「黒松」
御花には9タイプ、全20室の客室がありますが、特に素晴らしいのが、歴史ある庭園と建物を望む“文化財ビュー”の客室。なかでも特別和洋室「黒松 KUROMATSU」は、87平米の広さを持つ、最上位・最上階の角部屋です。
黒松という部屋名は、池庭「松濤園」に植えられた黒松に由来。松は永遠をあらわす、御花を象徴する樹木でもあります。朝目覚めると、まず視界に飛び込んでくるのは松濤園の緑。別の窓からは、明治期に14代・立花寛治が整備した、近代和風建築の連なりを見渡すことができます。
ほかにも、ツーベッドルームの特別室「蜜柑」、夕暮れが美しいユニバーサル対応の客室「橙」など、それぞれ異なる魅力を持つ客室があり、旅の目的に合わせて選ぶことができます。
室内はいずれも、武家らしい格式のあるシンプルなつくりですが、どこかホッとするような温かみを感じるのは、伊藤権次郎商店(八女市)の八女提灯や、インスタイル(大川市)のい草織物など、伝統技術が生み出す本物がさり気なく取り入れられているからかも知れません。
また、バスアメニティには石油成分を一切含まないブランドを採用。紙パックのミネラルウォーター、竹製の歯ブラシ・櫛にも、水郷のまち柳川の環境を守る姿勢が現れています。
