年齢とともに、グレイの髪が増えていくのは自然なことです。自然なことなのに、ヘアカラーの周期が短くなりはじめると、なかなか受け止められない。いつかはヘアカラーをやめようと思いながらも、なかなか決断できない。

 そんな葛藤を経て、エッセイスト・広瀬裕子さんは57歳の誕生月にグレイヘアにすることを決断しました。グレイヘアへ移行する約2年間、自分の変化と向き合い、これからの過ごし方を考えた広瀬さん。『50代からのグレイヘア』(PHP研究所)から一部を抜粋してお届けします。


日々の「憂鬱」は少ない方がいい。わたしがグレイヘアになるまで

 グレイヘア完成までの流れは「ヘアカラーをやめる → 髪を伸ばす(半年程度) → ショートヘアにする → グレイヘア完成」になります。このタイムスケジュールが、1番早くシンプルな方法です。

 ほかには、細かいハイライトをいれるやり方や明るい色のカラーを重ねるやり方もありますが、わたしはシンプルな方法でグレイヘアにしました。ひとつちがうのは、ショートヘアにしないでそのまま髪を伸ばしつづけたことです。

 「ヘアカラーをやめる → 伸ばす」。ここまでは一緒です。それから先は「毛先をワンカールしながらさらに伸ばす → 長さ優先で毛先だけカット → 2年経過 →セミロングへアでグレイヘア完成」でした。

 「どうしてその方法にしたのか?」というと、その過程・経過を、わたし自身が知りたかったから、というのがあります。ひとつは、グレイヘアにする方法として知りたかった、というのと、もうひとつは、その間の自分の気持ちの動きを知りたかったのです。

 歳を重ねていくなかで、ある年齢になると、髪色が変化することに対し、当たり前のようにネガティブな気持ちを抱くようになります。そのネガティブな思いがどこからくるのかが自分でも不思議でした。気づいたら、そう感じるようになっていたのです。

 けれど、何かあたらしい見方ができれば、グレイヘアの感じ方も、捉え方も変わるかもしれません。髪色の変化に伴う憂鬱な気持ちも、なくなるとまでは言わなくても、少なくなるかもしれません。毎月毎月、伸びてくる白い髪に憂鬱になりながら、人生をすごすのが「いい」とはわたしには思えませんでした。

 自分の残り時間が見えてくる年齢です。日々の「憂鬱」は少ないほうがいいのではないでしょうか。

 髪色のほかにも、色々、心配や不安が多くなる年代です。訪れる出来事に対し、どんな姿勢で向き合うか──。グレイヘアのあたらしい選択を見つけることができれば、わたしだけでなく、同じ思いを持つ人の参考になるかもしれません。

 グレイヘア完成までは、ショートヘアコース1年。ボブスタイル1年半。わたしのようにセミロングは2年ほどかかります。その間、ヘアカラーをやめて半年くらいまでは、髪色も中途半端で色々工夫していました。

 結べる長さになると、グレイヘアは、日々の暮らしのなかに溶けこんでいきます。自分自身、その髪色に慣れてくることと、生活のルーティーンとして成り立ってくるのでしょうね。

 わたしはグレイヘアに変化していく時間のなかで、自分により向き合いました。かろやかにすごせるように毎日を整えていきました。髪色だけではなく、暮らし、仕事、人間関係、すべてにおいて。グレイヘア完成までの時間は「これからどうすごしていくか」を見つける2年でもありました。

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