演技経験がないまま、「チーム・バチスタ」にレギュラー出演

――その後、ほぼ最初の仕事がドラマ「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」の研修医役でレギュラーでした。当時の心境はいかがでしたか?

 当時はその状況がどれだけスゴいことか何の実感も湧かないまま、現場で演技をしていました。同じ研修医役で「侍戦隊シンケンジャー」の撮影が終わったばかりの松坂桃李くんもいて、仲良くさせてもらっていましたが、役者としての意識や姿勢とかいろいろ学んだ現場でした。長年業界で活躍されている方のカッコ良さみたいなものを、仲村トオルさんや西島秀俊さん、加藤あいさんといった方々といろいろお話しするなかで学べたことも財産ですね。

――その後、数えるほどしか作品に出演されていないということは、やはり学業を優先していたということですか?

 そうですね。学業第一というのはこの業界に入るときに、親から言われてたことですし、勉強をちゃんとやったうえで、やりたい芝居をやるというのは僕自身の意志でもあります。

――今回の『百瀬、こっちを向いて。』は本格的な映画出演となったわけですが、オーディションの状況や役作りについて教えてください。

 オーディションでは、シーン説明が書かれた紙を1枚渡されて、監督の前でノボル役を演じることになったんです。役の設定が15歳ということで、22歳の僕が演じるのはどうなんだろうと不安を感じつつも、7年前の自分を思い出しながら演じていました。素をさらけだすノボルを演じるにあたり、いろいろ考えたんですが、リハーサルのときに監督から「堅い」とか「目に力が入りすぎている」と注意されたんです。それで役を作っていくというより、はずしていく作業の方が大きかったと思います。できるだけリラックスして演じることで、百瀬に対するリアクションが取れることが分かってきたんです。最初はメガネをかけている設定ではなかったのですが、監督の勧めでメガネをかけたことで、目の力を抜いていけるようになった気がします。

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2014.04.25(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹