1カ月駆け抜けるようだった映画撮影

――大人になったノボルは、向井理さんが演じましたよね。

 撮影中に2回ほどお会いしたんですが、挨拶程度しかできず、ノボルについてはお話してないんです。リハーサルのときに撮影した僕の演技に合わせて、向井さんが演じてくれたそうで、光栄ですね。メガネも僕がかけることが決まったことで、向井さんもかけることになったようです。

――ちなみに、今回の現場で学んだことは?

 映画って、今日3カ月後のシーンを撮って、明日3カ月前のシーンを撮るといったように、時系列に関係なく撮っていくものなんですよね。頭の中が混乱しがちなのですが、最終的にひとつの作品になったとき、ノボルの感情とか雰囲気などを含めて一貫しなきゃいけないということ。そして、ちゃんとノボルが成長していくように見せる計算みたいなものも必要だ、ということを強く実感しました。

――今回の作品で、演じることの楽しさみたいなものは生まれましたか?

 まだまだ楽しさは3割程度。あとはプレッシャーも含めて大変さ7割でしたね。朝の5時にロケバスに乗って、撮影終わりが深夜の0時とか、作品のことしか考えない1カ月で、駆け抜けるような濃い時間でした。だから、余韻に浸っている時間もなく、集中力を維持するのが大変でしたね。

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2014.04.25(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹