パスタを食べる快感に溺れる……。

シンプルなんだけど真似できない。イタリアの貧乏人が羨ましい!

 パスタが特殊で茹でるのにすごく時間が掛かるんですよ、とのことで先にお肉「豚ののどぼとけ」をいただく。のどのあたりって焼きトンなどでも美味しいから、こののどぼとけが美味しくないわけがない! 気管の空洞があったり軟骨があったり、さまざまな味わいと食感を楽しめた。

 そしてパスタは3種類。迷いに迷いに迷いに迷って、ホタルイカ、貧乏人、トマトソースの3種類に。シェフによって予告されていたものの、ぶっとい。がっしりしたパスタ。ホタルイカが網にかかったように巻き込まれている。麺に美味しい味が吸い込まれていて、それをもぐもぐといただく。

 さらに、楽しみにしていた貧乏人のスパゲッティ。グチャッとした目玉焼きと美味しいパルメザンチーズとやはりごん太な麺ががっしりと。アイテムとしては家でマネしたい気持ちになるかもしれないが、絶対に無理! というざっくりしているようで緻密なできあがりである。そして、最後のトマトソースがもう決定的に美味しい。本当にシンプルにトマトソースをしっかりとあえたパスタ料理。が、こんなに美味しいとは!

こんな、こんなシンプルなパスタが衝撃的に美味なのだ。

 実は、私がいままで好みのタイプと公言していたのは、表面がツルッツルでやわらかめのパスタ。こちらのパスタはいわばその正反対で、ひと口ひと口「もぐもぐ」と噛む。こういうパスタの美味しさがあるのね! とすっかりまいってしまった。プロフェッショナルの技である。振れ幅が大きいとハマるのが女心!

 さて、リコッタクリームに栗のはちみつをかけたこれまたシンプルながらクラクラさせてくれるデザートをいただき、ごちそうさま。出際に「私が以前いたレストランで何回も撮影しましたよね!」とシェフに声をかけられて真っ青……既に大変お世話になっている方だった! ガーン! きっとみるみる人気店になりそうな予感というか決定的な「メゼババ」。みんな大慌てで再訪しているのがよーくわかる。ああ、また行きたい。

メゼババ
所在地 東京都江東区亀戸6-26-5
電話番号 03-3636-5550

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2014.04.03(木)
文・撮影=北條芽以