●舞台出演で見えた今後の自分の可能性

――では、20年上演の舞台「絶響 MUSICA THE STAGE」が大きな転機になった理由は?

 本格的な演技は初めてで、なおかつ主演だったので、不安は大きかったです。今の自分を変えつつ、先の未来の自分に繋げるための一歩だと思って飛び込みましたが、稽古初日からボロボロでした。

 ただ、コロナ禍で延期したことが不幸中の幸いだったのか、より多く練習できましたし、先輩方からのアドバイスも受けて、無事初日を迎えられました。お客さんがいっぱい入った劇場で、先輩俳優さんやベテラン声優さんと一緒にスポットライトを浴びて演技をする。そんな今まで味わったことのない刺激に触れたことで、自分の今後の可能性が見えたんです。

 それから、普段は自分の感情を上手く表現できないのですが、役としてなら、上手く表現できることが分かったことも大きいです。

――22年、YouTuberグループ「フィッシャーズ」のシルクロードさんが、自身の体験をもとに企画・製作したホラー映画『カカリ-憑-』に出演。高校時代のシルクロードさん役を演じられました。

 「絶響 MUSICA THE STAGE」の後に、いろんな演技レッスンを受けていたので、映像のお芝居は舞台より自然さを求められることは分かっていましたし、昔からよく見ていたシルクロードさんの映画なので、撮影が楽しみでした。

 新しいお仕事に挑む気持ちは変わりませんでしたが、映像の中でも、特に映画の現場はいろんな専門用語が飛び交う現場でもあるので、いろんなことを学ばせてもらいました。

――最新出演映画『18歳のおとなたち』では、同級生の誠(マコト)によって引きこもりになってしまった新成人・カケル役を演じられています。オーディションでのエピソードは?

 最初の面接のときに、佐藤周監督が『カカリ-憑-』をご覧になっていることが分かって嬉しかったことを覚えています。オーディションでは、誠とカケル、どちらも演じたのですが、どこか考えながら演じていた誠と比べて、カケルは台本を読んだときから彼の気持ちがよく分かったんです。

 カケルは引きこもりでオタク気質ですが、自分の中に抑えきれない衝動だったり、いろんな面を持っているというところも魅力でした。そして、実際にオーディションで演じていても気持ち良かったので、どこかで「これは行けるかも?」という感触がありました。

2024.02.09(金)
文=くれい響
撮影=今井知佑