●庵野監督に見初められた「背広の男」秘話
――ちなみに、二階堂ふみさん演じるヒロインの元カレ・観音崎役を演じられた『リバーズ・エッジ』の出演経緯は?
共通の友人を介して、二階堂ふみさんと初めて会ったとき、彼女といろんな話をするうちに意気投合したんです。
それで後日、二階堂さんが行定勲監督に「観音崎くんがいました!」と僕を推薦してくれて、監督とプロデューサーの面談が決まったんです。そういう縁から始まった現場は、とても楽しかったですけど、映画の役柄的には、かなりしんどかったですね(笑)。
――23年には、西野七瀬さん演じるオーグメント・ハチオーグのボディガードというべき「背広の男」役で、『シン・仮面ライダー』(Prime Videoにて独占配信中)に出演されました。
もともと、本郷猛役のオーディションを受けていたのですが、後日、庵野秀明監督が「別の役でどうでしょうか?」と言ってくださっているという連絡をいただき、それは本当にありがたかったので、「是非やらせてください!」と言いました。
撮影は、一眼レフやiPhoneなど、いろんなレンズをつけたカメラが何台も並んだ見たことのない現場で、庵野さんを始め、みなさん楽しそうに探り探りやられているんですが、なかなか撮影が始まらないんです。8時間ぐらい、SHOCKERのみなさんとハチオーグ様の後ろに立ったままで、足が取れるんじゃないかと思いました(笑)。
庵野さんの作品に出させていただいたのはとても貴重な体験でしたし、「エヴァンゲリオン」好きにはたまらない現場だったので、また呼んでいただけたら嬉しいです。
――最終回を迎えたドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」では、深田恭子さん演じる年上女性に恋する加瀬役を演じられましたが、周囲の反応・反響はいかがですか?
プライムタイムの連ドラで、ここまで重要な役をやるのは初めてだったのですが、「こんなに知人から連絡がくるんだ!」という感想ですし、改めて「TVの影響力ってすごいし、早いな」と実感しました。
放送しながら撮っていたので、ロケ中のギャラリーの方の反応が露骨に変わってくるんですよ。最初の頃は「あれは誰?」だったのが、「加瀬さんだ!」に(笑)。
――加瀬というキャラを演じるうえで、心がけたことは?
加瀬は寡黙で奥手という設定なんですが、最初からあんまりオドオドしたり、キョドりたくはないとは思っていました。ただ、今まで、こういうピュアでまっすぐな男を演じたことがなかったんです。
だから、とても面白く新鮮に感じますし、今までは160キロのストレートの球を出すことを、演技の真髄と思ってやってきたのですが、「それだけじゃない表現もあるな」ということを学ぶことができた現場です。
2023.09.15(金)
文=くれい響
撮影=佐藤亘