◆『秘密の森の、その向こう』
8歳のネリーが森で出逢った少女は、同い年のころの母マリオンだった。祖母、母、娘──ひとときの奇跡が世代を超えた女性たちを結ぶ。
ネリーは生まれた瞬間からすでに「母」でしかなかったマリオンと出逢い直し、母もまたかつて少女であり娘であり、そしてなによりもひとりの人間であったと知る。やがてネリーは母を「ママ」ではなく「マリオン」と呼ぶようになり、祖母の亡き後深い悲しみに暮れている母にも母だけの固有な感情があることを学び大人になってゆく。
『秘密の森の、その向こう』
U-NEXTで配信中
◆『ロスト・ドーター』
大学教授のレイダは旅先で若い母親のニーナと出逢う。40代を過ぎたレイダはニーナを通し、若き自分を回顧しはじめる。かつて幼い子どもを残して家を出たレイダは、その期間がどうだったかとニーナに聞かれて答える─「最高だった」。
やがてレイダは自分には「母性」がないと告白する。この映画はすべての女性に本来的に備わっていると自明視されてきた「母性」の概念を覆す。「母」の姿も過酷な育児の様子も、決して美化されない。
『ロスト・ドーター』
Netflixで独占配信中
2023.09.16(土)
Text=Mizuki Kodama