母になったからこそ考える「母親の愛情って何?」

 妊娠が判明してから出産を経験した今に至るまで、責任ある決断を迫られています。

 例えば「もし赤ちゃんに障害があっても産むか」という医師からの問いには、こんな大事なことを決断しなくてはいけないのかと驚きましたし、子どもに名前をつけるのも超難関。

 でも困難だからこそ、母が私にくれた愛情に思いを馳せることもできるように。

 自分が母になり、母について考えることが増えた今、読み返したい本を選びました。(編集者・金城小百合さん)

◆『ねぇ、ママ』池辺葵

 決して“完璧”ではない母親たちをモチーフにした短編集。

「この本を読んでいると私のお母さんの思い出が浮かんでは消える。出産して初めて、母親がどんなに愛情深く私を育ててくれたのか、そして彼女がどんな人だったのかわかった気がした。私は母娘の関係が決して平坦ではなかったからこそ、その気づきは尊い」

『ねぇ、ママ』池辺葵

秋田書店 693円 全1巻

◆『女(じぶん)の体をゆるすまで』ペス山ポピー

 トランスジェンダー(Xジェンダー/ノンバイナリー)の作者が自分の体を許せるまでを描くエッセイコミック。

「トラウマ治療の際には必ず、お母さんとの何気ない思い出を思い浮かべる描写が胸に迫る。また、日本でトランスジェンダーとして生きることがいかに困難か実体験を交えて示す貴重な作品」

『女(じぶん)の体をゆるすまで』ペス山ポピー

小学館 各1,200円 上下巻

2023.09.15(金)
Text=CREA編集部

CREA 2023年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

母って何?

CREA 2023年夏号

母って何?

定価950円

CREAで10年ぶりの「母」特集。女性たちにとって「母になる」ことがもはや当たり前の選択肢ではなくなった日本の社会状況。政府が少子化対策を謳う一方で、なぜ出生数は減る一方なのか? この10年間で女性たちの意識、社会はどう変わったのか? 「母」となった女性、「母」とならなかった女性がいま考えることは? 徹底的に「母」について考えた一冊です。イモトアヤコさん、コムアイさん、pecoさんなど話題の方たちも登場。