◆『わが子ちゃん』峰なゆか
「『私にも赤ちゃんをかわいく思えるだろうか』と悩む妊婦の著者が出産後、『赤ちゃんかわいい!』と、満たされて、エンディングを迎える出産エッセイが多い中、絶対評価の自分の話を綴っている作者の感性は、ひたすら痛快。出産に関して、誰も教えてくれなかった赤裸々な情報が得られてありがたい」
『わが子ちゃん』峰なゆか
扶桑社 各1,100円 既刊2巻
◆『凪のお暇』コナリミサト
「10巻での慎二(主人公の元彼氏)の男としてのアイデンティティの崩壊と再築の過程に目が離せない。私の夫は年下で収入も私より低いため、『その分家事をして』と考えてしまう。その都度、自分をたしなめるが、もやもやもあり……。逆の立場から慎二もしているこの逡巡に作者がどう結論を出すか楽しみ」
『凪のお暇』コナリミサト
秋田書店 各748円 既刊10巻
◆『違国日記』ヤマシタトモコ
少女小説家の槙生は事故で亡くなった姉の娘・朝を引き取ることに。
「我が子が生きる未来はどんなだろう、何に喜び傷つくのだろう。懸命かつ真摯に生きる登場人物たちが我が子に寄りそう日が来るだろう。愛情の所在、生き続けることの難しさを丁寧にすくい取る本作は、誰にとっても人生の指針となり得る」
『違国日記』ヤマシタトモコ
祥伝社 748円〜 既刊10巻
金城小百合(きんじょう・さゆり)さん
編集者
小学館「ビッグコミックスペリオール」編集部。『往生際の意味を知れ!』や『花のズボラ飯』などヒット作を担当する。「Dos Monos」のメンバーである荘子it氏と結婚。2023年3月に第一子を出産。
2023.09.15(金)
Text=CREA編集部