●絶対的に正義に対しての認識がないとできない悪役

——2009年に公開された『SR サイタマノラッパー』は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」オフシアター・コンペティション部門でグランプリを受賞したほか、劇場でもヒットを飛ばし、全3本のシリーズ化、そして17年には連続ドラマ化もされました。

 公開当時は、監督はじめ出演者・スタッフ皆で宣伝して、路上でチラシ配ったり、身銭切って地方回ったりと、自主制作の映画を広げる行脚をしてました。それが楽しくて! 手作りの映画を観てもらうために、ずっと“お祭り”をやっているような感覚でした。あのとき、苦労を共にしたクルーと一緒に最後連ドラまでできたことは、大団円だとしてもさすがにできすぎてるなと(笑)。当初は劇場で上映されるかもわからず過ごした期間もありましたので、予想だにしていませんでした。

——その後、転機となった作品・出来事について教えてください。

 初めて劇場公開され、初めて人目に触れられた『SR サイタマノラッパー』は転機となった作品ですが、ほかにも園(子温)さん、瀬々(敬久)さん、豊田(利晃)さん、沖田(修一)さん、大森(立嗣)さん、山崎(貴)さん、などなど、たくさんの素敵な映画監督と会えるたびに転機になっているような気がします。選べないです(笑)。毎回どの現場でも新鮮で緊張しますし、新しい発見がある気がします。

——瀬々作品もそうですが、『きみの瞳が問いかけている』の半グレや『グッバイ・クルエル・ワールド』の元ヤクザなど、悪役やアクの強い役を演じられることが多いことについては?

 多いですかねぇ? 作品に必要であればと、頑張ります。

2023.03.17(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
スタイリスト=服部昌孝
ヘアメイク=AMANO