CREAスタッフの中でも指折りのウナギ愛好家、ライターの嶺月香里さん。取材で全国各地を飛び回り、行く先々でウナギ情報を仕入れてくる嶺月さんは、編集部でウ大臣と呼ばれています。そんな嶺月さんのおすすめウナギ情報を書き綴ってもらう連載がスタート!
第2回はいきなり北海道・旭川。多彩なウナギ料理がいただける「うなぎ かどわき」へ飛びました。
山椒不要の炭火焼き蒲焼まで、ウナギしか出てこない究極のコース
北海道の道北に位置する旭川。「旭山動物園」に旭川ラーメン、最近では人気コミック「ゴールデンカムイ」の聖地巡礼の地として有名ですが、実はウ好きも注目すべき聖地のひとつなのです。
お目当ては「うなぎ かどわき」の〈うなぎ料理 5品コース〉5,800円。コースだが、ひとりでも予約がとれるし、何よりうれしいのはマグロの刺身やら野菜の酢の物やら、ウナギ以外の余計な料理が一切ないこと。5品全部、ウ尽くしなのです!
さて、まずは旭川の地酒「男山」のお燗で一献。鰻屋では、お酒をちびちび飲みながらウナギが焼き上がるのを待つのもオツな時間ですが、今夜はほぼ待たずして1品目の「サラダ」が登場します。炙られた皮はしっかりコリコリで、噛むほどにウナギの滋味がじわり。シャキシャキの千切りレタスやドレッシングもいい感じです。
2品目は「鰻洗い」。さっと熱湯を通した刺身で、奥歯で噛むとザクッともジャリッともいえない確かな弾力と歯ごたえが脳に響き、脂がジュジュッと出てきます。さっぱりとした見た目を裏切る脂感、いや脂というよりクリアにとった冷製スープのような濃くてキレイな旨み。思わず目を閉じ、うっとりと堪能してしまいます。
「冬は脂がもっとのって、おいしいのよ」とお店のお母さん。冬じゃなくても、すっかりトリコです、ハイ。
グツグツ湯気を立てながらやってきたのは「うな川鍋」。柳川鍋にかけて、ごく薄く切ったごぼうと出汁でウナギを煮て卵でとじたものだが、その立ち上る匂いと音に興奮必至。ほろりとしたウナギの身、そして皮はとろんとほどけて半熟卵と絡み合います。食べているうちに出汁はどんどん味わいを深め、最後のひと口はウナギとごぼうの旨みを一身に受け止めた至福のスープに。
「熱いのが出てくるから気をつけて!」と次に卓上に届けられたのは、4品目の「かをり揚げ」。天ぷらのようですが、頬張るとアツアツの味噌がどっと出てきて、注意されていたにも関わらずハフハフあたふた。味噌を塗ったウナギを青じそで包んで揚げていますが、揚げたウナギはむっちりぷるんとした独特の食感で、溶け出た脂と味噌が最高の調味料に。味噌とウナギ、こんなに合うとは……!
2022.12.08(木)
文・撮影=嶺月香里