
さあ、土用の丑の日! そうでなくても、暑くてウナギが恋しい今日この頃ですが、ウナギの予約はもうお済ですか?
CREAスタッフの中でも指折りのウナギ愛好家、ライターの嶺月香里さん。取材で全国各地を飛び回り、行く先々でウナギ情報を仕入れてくる嶺月さんは、編集部でウ大臣と呼ばれています。そんな嶺月さんのおすすめウナギ情報を書き綴ってもらいます。
第6回は東京都・入谷鬼子母神前の「のだや」へ。かなり攻めたうなぎの一品料理と種類豊富な日本酒、そして“7大ブランドうなぎ”が食べられる全国でも珍しいお店です。
特別な日に誘いたくなる、特別なうなぎ体験を!

実はライター・嶺月の誕生日が7月末で土用の丑の日に重なることもあり、友人から「いい鰻屋があるよ」とお祝いに誘われることが多いのですが、入谷「のだや」もそんな風に教えてもらったお店のひとつ。ふだんからいろいろな鰻屋に通うウナギ好きにとってもサプライズのあるお店で、特別な日の食事にぴったりなんです。
例えば、店の名物である「うなぎの酢〆うら梅造り」は、ブランドウナギである「兼光 葵うなぎ」の刺身を酢できゅっとしめた一皿。フレンチのプレートみたいに描かれたウナギは梅ソース。あまりのかわいさにテンションUP! しっかりした身をかみしめると、中からじゅわっとウナギのエキスや脂がにじみ出て、梅をつければワインが飲みたくなり、ワサビを添えれば日本酒を呼ぶ。ほどよい酸味で胃袋が活性化され、今日はおおいに飲んで食べるぞ! というやる気が満ちてきます。

刻んだウナギをうにだれであえた「うなぎのうにあえ」は、マイルドな口当たりでいて、皮の風味とうまみはしっかり。白ワインでもいけそうだが、ここは日本酒かな~と杯を重ねつつ、「うなぎ珍味三点盛」をちびちびつまみます。珍味は川魚専門の技能集団が長年かけて編み出した数々の料理のうち、本日おすすめの3品が登場。

写真左は「西京焼き」で見た目は白身魚風だが、タラなどより野性味があって風味も強く、「さすがウナギ……」と称賛したくなります。中央の「肝のつくだ煮」は甘すぎず、生姜と山椒を効かせた大人味で無濾過生原酒など濃いめの日本酒に合いそう。右は柑橘が香る「一夜干し」で、地焼きのうなぎをちょっと品よくした感じ。

まるでアンモナイト!? のようにくるんと巻かれたうなぎハム、さっぱりしているがうまみは濃い! 濃厚なクリームチーズや、塩気とうまみが炸裂する酒盗を合わせれば、ビールでも焼酎でも、どんな酒でも鮮やかに受け止めてくれる最強つまみです。鰻屋では珍しいサラダ仕立ての一品で、本丸のうな重が来る前に、箸休め的な感じに食べてもよさそう。
定番の「う巻き」「うざく」のほか「蒲焼きの天ぷら」や、うなぎのタレをかけた「うなアイス」など、気になるメニューが満載です。お酒は日本酒、焼酎、ワインと、どんな酒呑みをも受け止めるラインアップで、職人たちがうなぎに合うものをと選んだ銘柄が揃います。
2025.07.19(土)
文・撮影=嶺月香里