
CREAスタッフの中でも指折りのウナギ愛好家、ライターの嶺月香里さん。取材で全国各地を飛び回り、行く先々でウナギ情報を仕入れてくる嶺月さんは、編集部でウ大臣と呼ばれています。そんな嶺月さんのおすすめウナギ情報を書き綴ってもらう連載は本日も絶好調です。
第3回は東京の下町・亀戸で、いろいろなウナギが食べ比べできる『八べえ(はちべえ)』へ。
養殖ウ界のエリートが続々と。何を食べるべきか、嬉しい悩みが待っている

花の天神様として知られる亀戸天神社の、鳥居のすぐ近くに店を構える『八べえ』。珍しい焼き方「五右衛門蒸し」と傑作ウナギの品揃えで、ウ愛好者にも人気のお店です。
ここでは常に3~4種類のウナギを揃えていて、養殖ウナギの10%しかいない超エリートの「青うなぎ」が常時食べられるのが魅力。ほかにも「和匠(わしょう)うなぎ」、「坂東太郎」などの個性あふれるブランドウナギを仕入れていて、タイミングがよければ天然ウナギも登場します。
店であれこれ選ぶのも迷うので、まずは予約の電話をかけて当日に食べられるブランドウナギをチェック。予約時にブランドウナギを指名予約しておけば、売り切れの心配もないし、待ち時間も少し短くなりますから。焼き方はお店についてから決めても大丈夫。とにかく“推しウ”をキープしておくのが正解です。


どのウナギをどう焼くか作戦会議をしながら、まずはビールで喉をうるおしましょう。お通しはカリッカリの骨せんべい。塩と七味唐辛子がほどよくきいていて、いいおつまみに。

ブランドウナギと対峙する前の前哨戦は「鰻肝焼」からスタート。うん、いい焼きっぷり。炭火の火力の強さが焼きめと香りにまとっています。タレは甘すぎず、江戸好みのちょい辛で、あぁ日本酒が飲みたい……と酒心をかきたててくれます。
こちらのお店、日本酒の品揃えもなかなかよいのですが、ぐウっと惹かれたのは、“ウナギの為に造られたお酒「石鎚 純米土用酒」”。これは頼まずにはいられません。一口目は辛口の印象、でも肝のほろ苦さにあたると米の甘さが出てきてちょうどいい塩梅。蒲焼とともに飲めば、きりっとした印象に変わるから面白い。この日本酒、ボトルには蒲焼色のラベルにウがにょろっと描かれているんですよ。

お次は「鰻カブト焼」が運ばれてきました。けっこう頭が大きいです。頬張ると、驚くほど柔らか! カブト(ウナギの頭)の肉は味が濃くて好きなのですが、骨が多くて食べるのがちと面倒。でもこのカブト焼は舌の上でとけて、ウナギの余韻を強く残しながらするすると消えてしまうほど。
2023.02.01(水)
文・撮影=嶺月香里