ワイルドな役柄を演じた自主映画『ケンとカズ』で、一躍注目を浴びた毎熊克哉。その後も、日本映画界に欠かせない存在となり、「恋はつづくよどこまでも」「妖怪シェアハウス」などドラマでも活躍する彼の、意外ともいえるキャリアを振り返るインタビュー前篇。

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●物心ついたときから、映画監督になりたい!

――幼い頃の夢は、映画監督だったそうですね。

 はい。親が言うには3歳ぐらいから言っていたようで、物心ついたときには「こういうものを作りたい」と思っていました。初めて映画館で観た映画は『ジュラシック・パーク』で、洋画を中心に観まくっていました。レンタルビデオ屋さんにもよく通っていましたね。

――その後、高校時代にはストリートダンスも始められます。

 ジャズダンスを教えていた母親が持っていた、ストリートダンスのハウツービデオを偶然一緒に観た時に、衝撃を受けて始めました。当時は2人組のユニットを組んでいたのですが、振付のほかに、踊る曲を自分で決めて、編集し、他人に自分の思い描く世界観みたいなものを見せることが楽しかったんです。だから、最初のモノ作りだったようにも思えます。

●裏方から俳優の道へ

――高校卒業後、映画監督を志して上京。専門学校では撮影・照明のコースに進まれます。

 専門学校の「ハリウッドへの道」というキャッチフレーズに憧れて入学しました。「映画を撮るためには、撮影技術が必要だろう」と思い、撮照を専攻したんです。でも、監督コースの友だちが多かったし、授業が楽しそうだったこともあり、2年目から監督コースに編入しました。その頃に小路紘史と出会い、お互いの作品を手伝い合い、キャストが足りないときは出演もしていました。

――その後、俳優として活動していくきっかけは?

 自分の作品に出演してくれる役者に、理想の演技を説明するのが、難しいなとも思っていましたし、卒業が近づいてきて今後自分はどうやって映画に関わっていこうか? と本気で考えたとき、映画の中の演技そのものに興味がある事に気づいたんです。「今までずっと、演技に感動させられていたなぁ」と。「監督志望から俳優に転向しよう!」というよりは「演技のことをもっと学んでみたい」という感じで始まりました。

2022.02.25(金)
文=くれい響
写真=佐藤 亘
スタイリスト=カワサキ タカフミ
ヘアメイク=茂木美鈴