令和初の仮面ライダーとなった「仮面ライダーゼロワン」で俳優デビュー。その後も、吉高由里子の弟役を好演して話題になった「最愛」などのドラマで注目を浴びる高橋文哉。清水崇監督による「恐怖の村」シリーズ第3弾に出演した彼が、自身のキャリアを振り返る。

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●料理人を目指し、高校に進学

――幼い頃の夢は、料理人だったそうですね。

 小学校低学年のとき、母の誕生日にいつもの恩返しとして、ハンバーグを作ったんです。そのときに、「美味しい! 美味しい!」と言ってくれたのがきっかけです。焦げていましたし、絶対に美味しくなかったと思うんですが……。中学に入ってからも、兄にいろいろ作ってあげたりもしました。そして、高校に進学するときに本格的に料理人を目指すようになり、調理高等科に進学しました。

――そんな高橋さんが俳優を目指すきっかけは?

 小さい頃から、テレビでキラキラしてる人を見ていて、憧れを持っていたんです。その後、ご縁があって、この世界に入りました

――その後、2019年「仮面ライダーゼロワン」にて、飛電或人/仮面ライダーゼロワン役で主演されます。オーディションの思い出は?

 「ライダー」のオーディションは初めて受けたのですが、3次オーディションまであって、そこで初めて主人公がお笑い芸人の設定であることを知りました。台本を読んだときに、ビックリすると同時にボケたりすることに対する恥ずかしさみたいなものを感じたのですが、いざ演じ始めると、どんどん楽しくなって、いつの間にかアドリブまで入れていました(笑)。

●自身にとって大切な「仮面ライダーゼロワン」の存在

――オーディションに合格し、歴史あるヒーローであると同時に、“令和ライダー”第1号を演じることに対するプレッシャーは感じましたか?

 スタッフさんを含め、周囲の方からの期待を感じていたので、なかったと言ったら嘘になります。そこにはしっかり応えたいと思っていたので、準備期間を含めた1年半、がむしゃらにやっていました。ただ、デビュー作ということもあり、役作りという概念すら理解しておらず、具体的なお芝居については、現場で監督さんといっぱいお話ししました。ピン芸人の設定ということで、自分ではサンシャイン池崎さんなど、ハイテンションな芸風の方の動画をたくさん見ました。

――「ライダー」としての1年間で学んだことは?

 僕にとっての「仮面ライダー」とは、準備段階を含むすべてを丁寧に教えてくれた現場だと思います。そして、1年間同じ役を演じ続けるという、貴重な経験をデビュー作でさせてもらい、とても光栄でした。また、いろいろなものを、みなさんに届ける仕事でもあるので、子どもたちからの反響などから「ライダー」を演じているという実感とともに、責任感もどんどん強くなっていきました。役者デビュー3年目の僕にとって、その半分が「ライダー」だったこともあり、とても大切な作品です。

――「ライダー」終了直後には、ドラマ「先生を消す方程式。」に出演されます。「ライダー」から一転して、学園ドラマに出演されたことについては?

 学園ドラマといっても、かなりクセのある話ですし、僕が演じた刀矢という役柄もサイコパス・チックなヒールキャラだったので、ちょっと感覚が違ったかもしれません。ただ、3年D組のみんなとは、休憩時間に一緒にご飯を食べたり、写真を撮ったりして、一緒にいる時間が長かったこともあり、高校時代を思い出すようでした。そんな現場を経て、お芝居の種類みたいなものを学んだ気がします。

2022.01.28(金)
文=くれい 響
撮影=平松市聖