(3ページ目)繊細な演出、丁寧な伏線考察しながら何度も楽しめる今クール最高のドラマは「最愛」！

総評　最愛、最高！！ ◎

　面白すぎてもうたまらないんですよ……。

　毎話、最高のストーリー展開と一瞬も見逃せない張り巡らされた伏線。そして何より登場人物の表情・感情がひしひしと伝わる演出に胸を鷲掴みにされてしまう。あと一歩踏み出せば両想いであろうにも関わらず、進まないじれったさにもキュンとします。

　次は何が起きるのか、どこで事件がつながるのか、真相に近づいたと思ったらまた遠ざかり、謎が新しく生まれる。何度リピートしても伏線が見つけられて楽しめますし、考察しながら見ても楽しめるドラマですよね。

　毎週金曜22時が待ちきれないのですが、このお預けされている感じもドラマの醍醐味です。

　先週第5話はもう……怒涛すぎて次回最終話なのかと思ってしまうほどでした。

　さらに加速して展開されるストーリーと、それぞれの背負った運命が切なくて儚くて憎くて……。次に何が起こるのか息をのんで観てしまった1回目視聴後は興奮して、何が起こったのか全部忘れてしまいました(すぐにもう1回再生しました)。

　梨央があともう一歩、車から出るのが早かったら大輝に気付かれずに済んで、優と引き離されることはなかったのに。この「あと一歩」がいつももどかしくて、最高です。

　また、過去のシーンを入れ込んでくるのが切なすぎて胸がきゅっとなりました。大輝がバス停で優を見つけたときに再生された、まだ声変わり前の幼い優が「大ちゃん！」と呼ぶ声、白川に着いた時に思い出す、寮から朝宮家まで幼い優と手を繋いで笑いながら歩いた道。

　全うしなければいけない警察官としての立場と、手放したくない愛おしくて幸せな思い出の間で揺れる、大輝の計り知れぬ苦しさを思うと息が詰まる程切なかったです……。

　白川に帰った梨央と優が思い出す、二人が一番幸せだった陸上部の寮で過ごした日々と、父・達雄(光石研)の優しい声と笑顔。何よりあの微笑ましい牛丼デーがこんなに寂しさを助長させるなんて誰が思いつくんですか……。梨央の「何もかも、なかったことにはできんのかなあ」とつぶやいた後にアップになった達雄のPCに貼られた家族3人のプリクラで涙が出てきました。

　優が最愛の姉を思い出しながら語るナレーションも寂しかったですね……。思い出の中の姉の年齢を超え、身長を抜かした今、悲しい日々がつづいているのに夢に現れてくれないから、逃げるのをやめる前に最後に一目だけ姉に会いに来たのでしょうか。切なすぎませんか……？

　冒頭の登場人物たちのナレーションによって、それぞれの思いや信念、何のために行動しているのか、どんな景色を見ているのか、その人の「最愛」は誰なのかが少しだけ垣間見える気がして、今回もいよいよ始まるぞ……とOvertureのように高揚感がさらに高められる魅力的な物語のスタートの仕方にも脱帽です。