●内田英治監督と組んだボーイズラブ映画が転機に

――17年、グループ在籍時に主演した内田英治監督作『ダブルミンツ』の存在も大きかったかと思います。

 『ダブルミンツ』は、初めて本格的に役作りしたことで、さらにお芝居の面白さや奥深さを知った作品でした。内田監督とは、それ以前から面識があって、自分のお芝居に対する熱を語らせてもらっていたのですが、気持ちを受け取ってくださったのか、オーディションではなく、直接お声を掛けてもらったんです。

 いわゆるボーイズラブの世界観の作品ですが、『ブエノスアイレス』や『マイ・プライベート・アイダホ』などの海外のいろんな映画を観ていたので、ボーイズラブに対する抵抗は一切ありませんでした。この作品で演じた光央には、共依存に近いものを感じていました。

――さらに、そこから白石晃士監督との繋がりなどに広がっていきました。

 公開時には、いろんな方に観ていただきましたが、どこかで「もっと多くの方に届けることができたんじゃないのか?」という悔しさもありました。

 そして、映画公開後、映画の情報番組「映画MANIA」の出演をきっかけに、名古屋の映画館・シネマスコーレの副支配人・坪井さんと出会いがあり、『ダブルミンツ』を観てもらうことになったんです。坪井さんには「もっと多くの人に観てもらうべき作品です」と仰っていただき、その声が白石監督のところにも届いたんです。

2020.11.20(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹
スタイリング=中川原有(CaNN)