岡崎京子原作のコミックを映画化した『ジオラマボーイ・パノラマガール』で、年上女性に恋する主人公・ケンイチを演じた鈴木仁。「メンズノンノ」モデルとしても活躍中の彼の、役者としての成長に注目!
サッカー少年からモデルに挑戦
――幼少時からサッカー少年だった鈴木さんですが、将来の夢はやはりプロサッカー選手でしたか?
そうです。親がスポーツをやらせたかったようなんです。幼稚園にサッカーチームがあったことをきっかけに始めて、最終的に高3までやっていました。だから、高1の初めぐらいに事務所(アミューズ)に入った後も、続けていました。
――2014年、15歳のときに、事務所のオーディションを受けられた理由は?
サッカー以外のこともやってみたいと思っていて、どこか漠然とモデルの仕事に憧れていたんです。洋服に興味がありましたし。それで、運試しのつもりで、応募者全員が面接を受けられる芸能事務所のオーディションがあったので、受けることにしました。ただ、事務所に入った後に、メンズモデルがひとりもいないことが分かりました(笑)。
――16年には「第31回メンズノンノモデルオーディション」で準グランプリを受賞されたことで、「メンズノンノ」専属モデルという夢が叶います。
最初は服を着せてもらって、ヘアメイクしてもらい、カメラ前に立っていることがとても不思議でした。そして、夢が叶ったものの、どうしようといった気持ちで、先輩たちの動きなどを見て、研究しました。事務所では演技レッスンも受けていたのですが、自分の性格上、「人前でそんなことはできない」と思っていました。でも、その考えも、ちょっとずつ変わっていきました。
「花晴」「3年A組」で演じた対照的なイケメン役
――17年、湊かなえ原作のドラマ「リバース」で俳優デビューを果たします。
実際に、「リバース」の現場に入った後での心境の変化が自分にとって大きかったと思います。特に怒られるようなことはなかったのですが、監督さんから「ここは、こういうイメージで」と具体的なアドバイスをいただけたことで、演じることの楽しさを学ぶことができました。
――その後、転機となった作品について教えてください。
目に見えて、世の中の人に知ってもらえたのは、「花のち晴れ~花男 Next Season~」だと思います。SNSでの反響が大きかったので。ここで演じた成宮一茶のイケイケキャラに関しては最初、自分ではまったくイメージできなかったんです。それで監督さんといろいろとお話しするうちに、大枠を捉えることができ、最終的に無理なく吹っ切ることができました。
――翌19年に出演したドラマ「3年A組ー今から皆さんは、人質ですー」では、サッカー部のエースで女子人気No.1の里見海斗を演じ、さらに注目を浴びました。
「花晴」の成宮一茶みたいに、自分から華やかなオーラを放つのではなく、周りが勝手に盛り上げてくれる役柄なので、僕はできるだけクールな感じを出すよう心掛けました。この頃は、すでに撮影現場の雰囲気にも慣れ、自分の演技プランを見出せるようになっていましたし。僕は現場が終わると、共演者とあまり連絡を取り合うことはないのですが、萩原利久くんと佐久本宝くんとは、軽くご飯に行きました。
2020.11.06(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=KEIKO(Sublimation)
スタイリスト=森田晃嘉