重要なのはやっぱりベースメイクとチークだった
1 濃淡3色のグラデーションで、立体感のある顔立ちを手軽に演出。キッカラヴィッシンググロウ パウダーファンデーション SPF16・PA++ 6色 ¥5250、同 ケース ¥2100、パウダーファンデーション スポンジ 2個入り ¥1050(2/20発売)ラヴィッシンググロウ フェイスブラッシュ ¥2100
2 春の光を受けたような明るさと、肌を美しくみせる色合わせが魅力。キッカ ミスティック パウダーアイシャドウ グレースパイナップル ¥5775(1/23限定発売)/カネボウ化粧品
次にニューヨークから“日本の女”が若くキレイであるためには何が必要か? をずばり言い当ててくれたのが、CHICCAの吉川氏。この人はまた、まったく異なるテクニックとこだわりを見せてくれた。“ソリッドファンデーション”のスタンプ塗りという、誰も考えなかった方法を。これは言ってみれば、ファンデーションでつくるのは難しい“エナメルのようなツヤツヤの肌”をつくるための唯一とも言っていいテクニックで、文字通り固めのベースを三角スポンジにしっかりとって、ポンポンとスタンプを押すようにたたき塗るもの。チークも同じソリッドタイプのスタンプ塗りで、まさに肌の中から湧き出してくるような血色の再現に成功している。
ともかく、こういうふうに誰もやらなかった方法で“ファンデではつくれない肌”をつくるのは“職人芸”以外の何ものでもない。世界的なテクニックをもつプロだけに可能な、こだわりの結晶なのである。プロがどうしても“あの肌”をつくりたいと想い続けた肌も、日本のテクノロジーなら実現できるということなのだ。
そして今シーズン、CHICCAは初のパウダーファンデを発表するのだが、これがまたパウダータイプではとうていできない水のツヤ肌。肌の中に水が見えるようなツヤ肌をつくってくれるのだ。アイシャドウの洗練には定評がある人だが、粉体づくりもこんなに巧みだったとは!
1 日焼け止め、下地、ファンデーションを1つで実現。ティンティド スキンプロテクター SPF50+・PA+++ 5色 30ml ¥4725(2/15発売)
2~4 リップスティック型がユニークなチークカラー。口紅やアイシャドウとしても活躍。チーク スティック リフレクション
2 シルバーパールが上品に輝くライトベージュのハイライト
3 同ゴールドパール入りの透明感あるオレンジ。同 アフリカンサンセット
4 華やかなピンクで血色アップ。同 ダマスクローズ各¥2940/ADDICTION BEAUTY
そしてデビューからわずか4年で確かな成功をおさめているのが、アディクション。AYAKOさんのつくるニューヨークのセンスとドラマ性に溢れたカラー提案はあまりにも巧み。瞬く間に、日本の女のセンスを少なからず育ててくれたと思う。ファンデーションの評価が高いのは、予期した通り。しかしながら都会に生きる、クールな女性を意識していることもあり、“便利”ということにすらプロの技とこだわりを内蔵させてくれるのが、アディクションのすごさなのだ。
だから昨シーズンは、口紅のように簡単でかさばらないチークスティックを成功させ、今春はなんとSPF50・PA+++でありながら、仕上がりも大満足という、“ありそうでなかった”しかも“できそうでできなかった”待望の薄づきUV50ファンデ、ティンティド スキンプロテクターを完成させてしまう。しかもカラーが5色。本気の美肌ファンデなのに、SPF50は嬉しすぎ。これも完璧な肌を求める人が日本のテクノロジーを得たから実現したことなのだ。
おそらく世界に例を見ないアーチストコスメたちのこの仕事ぶりは、本当に本当に世界に誇れるもの。あらためてこの3人のアーチストは日本の誇りであると、そう思った。
齋藤薫
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2013.01.29(火)