――11年には、映画『忍たま乱太郎』で初主演。2年後には続編も製作されました。
幼稚園の頃に思い描いていた3つの夢のひとつが、忍者になることだったんです。
そのひとつが叶ったうえ、自分が見ていたアニメの主人公になれるなんて、嬉しくてしょうがありませんでした。
ただ、主演であるプレッシャーは、まったくなかったです。
今考えると、あれほどベテランの方に囲まれていながら、何も考えていなかったことが良かったんだと思います(笑)
もし、余計なことを考えてしまったら、お芝居ができなかっただろうなと……。
――その後、自身にとって、転機となった作品・出来事を教えてください。
11年に、ガブローシュ役で参加させていただいたミュージカル『レ・ミゼラブル』です。
同じ事務所の友人が出ていた前の公演を見たとき、「ステージを走り回る姿がカッコいい」と思い、小学3年生の冬にオーディションを受けました。
そこで揉まれることで、好きな歌と踊りが詰まったミュージカルをさらに好きになり、さらにいろんな芸能に興味を持つようになったんです。
そのひとつが、六本木歌舞伎(『地球投五郎宇宙荒事』)で、所作など、それまで知らなかったことを学ぶことができました。
役者としてもそうですが、人間としても成長できた気がしました。
――『レミゼ』との出会いが後のイギリス留学にも繋がったそうですが、中2のときに「俳優で生きていく」と心に決めた理由は?
六本木歌舞伎のときです。ちょうどその頃、小さい時から念願だった野球を部活で始めていて、今後はどういった道に進むべきか、悩んでいました。
そのことを稽古中の(市川)海老蔵さんに相談したら、「俳優を何年やってるんだ?」と言われたんです。
「サラリーマンが同じ仕事を13年続けたら、ベテランなんだから、そのキャリアを潰す必要はない!」と。
その言葉を聞いたとき、ハッとしました。
「これまで、楽しくやってくることができたお芝居で、ご飯を食べられることができたら、なんて幸せなんだろう!」と。
2020.05.29(金)
文=くれい響
撮影=佐藤亘