一躍、人気者になった“こども店長”から、早11年。

 ミュージカルや歌舞伎への出演。

 さらにイギリス留学を経て、18歳のイケメンに成長した彼のキャリアを振り返ると同時に、今後の目標も伺いました。

●“こども店長”の思い出

――わずか1歳1カ月でデビューされた加藤さんですが、仕事場での最初の記憶は何ですか?

 まったく人見知りしない、泣かない子だったので、生後2カ月のときに母が児童劇団に登録したんです。僕の思い出作りになるようという思いからだったそうです。

 最初の記憶は、2歳半の頃。宮藤官九郎さんが脚本を書かれたドラマ「マンハッタンラブストーリー」で初台詞を言ったときです。

 スタジオの中に建てられた喫茶店のセットや照明の感じを覚えています。そこで「具が多い!」と言ったんです(笑)。

――3歳になって、本格的に役者のレッスンを受けられたそうですが、そのときの気持ちは?

 歌とダンス、あと日本舞踊やお作法を学んでいたので、習い事をやっているような感覚でした。

 それが楽しくてしょうがなかったので、やめることなく続けられ、それがお仕事になっても楽しんでいました。

 多分、お芝居をしている意識はなく、自分と違う人になれることが遊びの延長みたいで楽しかったんだと思います。

 その後、小学生になっても、みんなとは違うタイプの部活をやっている感覚だったと思います。

――09年、CM「トヨタ自動車」で演じられたこども店長でブレイク。歌手デビューなどもされ、「NHK紅白歌合戦」にも出場されます。

 トヨタさんのお仕事では、日本全国のいろんなところに行き、美味しいものを食べさせていただいたことを覚えています。

 特に石川遼さんと一緒に行った札幌が楽しかったです。

 歌手デビューも、レッスンで好きだった歌をさらに深くやらせてもらって幸せでした。

 僕の中ではブレイクしたという実感がまったくないんです。

 生活に関しても、街で声を掛けられることはあっても、家族はもちろん、毎日通っていた学校の友達も変わりませんでしたし。

 忙しくなった頃、早退すると、同級生に「ずる休み!」と言われたぐらいです(笑)。

2020.05.29(金)
文=くれい響
撮影=佐藤亘