![サロメの唇「昭和歌謡館のテーマ」。ボーカル・京子嬢の声は、新宿に向かう荷造りをしたくなるサブリミナル効果が組まれているとしか思えない。デンジャラース……。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/2/-/img_d2e142d5ad3f4fbde21b6a70d9ef3988168865.jpg)
眠らない街、新宿――。
一度迷い込んだらもうおしまい、帰宅を諦める酔いどれ達が夜明けまでララバイを歌う、東京最大のラビリンス――。
何度ここに来ただろう。そして、何度道に迷ったことだろう。一度で目的地にたどり着いたこと? ハッ、あるわけないサ。グーグルマップ? 歩きスマホが怖い街だとよ……。
まず新宿駅から出るのにひと苦労。駅を出たら出たで、同じ場所をグルグルと彷徨い続けた。またビックカメラ、またビックカメラ(泣)……。この新宿メリーゴーランドを5度ほど繰り返してからである。東京のタイムトンネル「ディスクユニオン昭和歌謡館」にたどり着いたのは。
![これが大都会東京・新宿というラビリンス。見よ、この建物の多さ! んもう迷うのは当たり前である。空になんか飛んでいて和む。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/6/-/img_16d27b1a08cf7c32bc6f306bbcb6dcd7168145.jpg)
「ディスクユニオン昭和歌謡館」の噂は以前から聞いていた。しかしその全容があまりにもミステリー。
今回の取材の発端となった文春の昭和歌謡クレイジーと呼ばれるヤング氏は、
「ああ、最高にホットでイケてる場所さ」
ニヒルな笑顔を浮かべ多くを語らない。担当となったアケミ嬢に至っては、
「ディスクユニオン昭和歌謡館には自由の風が似合う。好きに書きな、アンタのキャンバスにアンタの色でサ。ただ、これだけは覚えておきな。あの店には魔物が住んでるってことを……」
意味ありげに遠くを見つめるばかりである。
どどどういうところなのか、ディスクユニオン昭和歌謡館! HPからは確かに濃厚な空気は漂っているが、想像はいろんな方向に膨らむばかりだ。
(ディスクユニオン昭和歌謡館ホームページトップ)
https://diskunion.net/shop/ct/showa_kayou
2019.12.30(月)
文・撮影=田中 稲
撮影=松本輝一
写真=文藝春秋