狭いからこそ
熱気が膨れ上がる
魔のCDコーナー

 中古レコードコーナーに後ろ髪をひかれつつ、CDコーナーへ突入。

 棚と棚の細いほっそい隙間。そこに、昔四畳半でフォークギターをかき鳴らし、髪の毛を切るタイミングを40年ほど逃した的なナイスガイと、スカジャンを粋に着こなしたロマンスグレーが背中を合わせ、品定めをしている。

 そこに並んだ私。彼らと心でハンドインハンドできた感覚があった。

 さて、迷う暇もなく目に飛び込んできたのが丹波哲郎様である。な、なにぃ? 「ノストラダムスの大予言オリジナル・サウンドトラック」!? ほ、欲しい! 購入しようと思ったが、4,536円。くっ……。

 そこに「俺たちが心の穴を埋めてやるぜ」と声をかけてくれたのが横浜銀蝿(のCD)だ。グラサン越しに私を見つめる真っ黒な彼らに慰めてもらうしか!

 「マシンに乗せて、ジョニー!!」 私はそう叫び、(新品同様)ステッカーつきの「横浜銀蝿全曲集2020」を新品と同じ価格で買うという、「それ、中古ショップで買う意味あんの? 」という買い物をしてしまった。ツッパリはいつも罪作りである。

» ディスクユニオン昭和歌謡館・後編 

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2019.12.30(月)
文・撮影=田中 稲
撮影=松本輝一
写真=文藝春秋