ジュリーの歌声が
進化しているというのは本当か
ある日、ご近所に住む沢田研二ファンのマダムとばったりお会いし、ジュリーのライブの話になった。
「とにかく素晴らしいから。本当に素晴らしいから! 最高に素晴らしいから!!」
彼女はきっと前前前世からジュリーが好きなのだろう。語りに愛が吹き出ていて、立ち話ながら猛烈に感動してしまった。
かくいう私もずっとジュリーのライブに行ってみたいと思っていたのだ。そもそも今のコロンとした体形のジュリーは私の好みど真ん中。しかも、
「ジュリーはライブで飛んだり跳ねたり動き回るらしい」
「歌声が全く衰え知らずらしい」
「昔のヒット曲はあまり歌わないらしい」
などなど、漏れ聞こえる噂がとにかくワイルド&タフ。
どこまでが真実なのかジュリーよ……。が、心で何度そう問うたところでジュリーが突然目の前に現れ「本当のところはですね」とか答えてくれるはずもない。
ならばこの目でそれを確認せねば! レッツゴー、フェスティバルホール!
そして2019年5月14日(火)、ライブ「SHOUT!」に行ってきました。
「ちょっと待て。2カ月前ではないか」。おっとその突っ込み、ごもっともである。
が、言い訳sorry聞いてよアムール! 沢田研二の歌声の衝撃をどうお伝えしようか、表現に悩み続けたエブリデイだったのである。
「すごく上手い」平凡。「パネェ」軽い。私は最終的に平成末期の若者が生み出したミステリアス・ワード「マジ卍」の応用性の高さに気づかされた。
そう。ジュリーはマジ卍であった。
いや待てそんな一言でここまで読んでくださった方が納得するはずはない。もうあの時間の興奮をそのまま伝えよう。そしてファンの方の怒りを覚悟で言おう。
彼は人間じゃなかった。歌のモンスターだった、と!
2019.07.07(日)
文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋