ジュリーが走り回るというのは
本当なのか

 沢田研二ツアー「SHOUT!」。今回は、サウンドは柴山和彦さんのギターのみと言うではないか。

 どこまでも粋な演出であり、自信の表れと見た。

 なるほど、この目で確認させていただくわ。ふふふ……と独り言をつぶやきつつ物販でTシャツゲット。

 そして暗転。

 いざ、私がフェスティバルホール2階席から目を凝らし見た人生初生ジュリーは! 

「あれっ、思ったよりお痩せになってる!」

 であった。もっともっと表情とか見たいのに視力が(泣)。必死で身を乗り出すと、

「ジューリーー!」 

 隣でニコニコと談笑していた上品な美女2人が突然ジュリーモードスイッチオン!

 両手をガッと伸ばし、叫んで手を振る! た、高まるー!

 私も眼鏡を拭いて体勢を整えた。そしてあの噂の真実を知るのだった。

【検証1】舞台を走り回る説

 本当だった。彼は飛んだり跳ねたり、とにかく舞台を走る走る。見ているこちらが心配になるほど走る! 

 アグレッシブな曲の時は、左から右まで舞台をダ―ッと走る!

「ぜいぜいぜい……」

 腰をかがめ、ひょうきんに「疲れた」ポーズを取るが、再び走るし飛ぶ。そして歌う! しかも声量、すごい!

 私は50歳だが、今彼と体力測定勝負をしたら確実に負ける。そう思った。

【検証2】声が進化している説

 これまた本当だった。時々カスレる声がやだセクシー! 特に「探偵~哀しきチェイサー」はハートをスクリューパンチで殴られた。あの色気なに!??

 私は若かりし頃、彼の声を「“アダムとイブ”という歌詞がこの世で一番似合うアーティストベスト1」に認定していたが、こちらも今回、「ス・ト・リ・ッ・パー」の歌唱で全く衰え知らずのアダムとイブっぷりを確認することができ、殿堂入りが決定。

 なにより特筆すべきは深みを増した低音。昔より何倍もどっしり重量感がある。ビリビリと腹に響き、おおげさでなく仰天してしまった!

2019.07.07(日)
文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋