CREAが取材してきた数多の温泉宿から、ひとりに優しい魅力ある温泉宿をセレクト。いつか訪れたい憧れの宿、再訪したい思い出の宿、絶景を楽しむサウナも併せてご紹介。
名湯の地の連綿と受け継がれてきた風格ある空間で湯浴みも食事も睡眠も、さらには設えや庭を愛でるのも、ひとりなら心静か。これ以上の贅沢はありません。
文化財の宿でもてなしの心を感じる
●会津東山温泉 向瀧[福島・会津東山温泉]
もともと会津藩の指定保養所だった建物を引き継いだ宿は、明治、大正、昭和とたびたび増築・改修を重ね、各時代の職人技を結集した、現在の美しい旅館が完成した。国の登録有形文化財にもなっているその佇まいに、日本の歴史と伝統を感じると同時に、どこか現代の“レトロかわいい”に通じるデザイン性の高さも感じるのが面白い。
館内の散策もいいが、中庭を囲むように回廊に沿って部屋が並んでいるので、なんと言っても、部屋にこもって、中庭の景色や建築をぼんやり眺めたり、池の水音に耳をすませたり、ひとり気ままに読書をして過ごすのがベスト。
数寄屋造りの部屋や、書院造りの部屋など、すべての部屋の調度品は、ひとつひとつ趣が異なり、絶妙に調和しているから、そのセンスには驚きだ。また、伝統を繫いでいくため、雰囲気を壊してしまう空調設備を隠して配置するなどの工夫もされている。
CREA Due 2026年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
