チャンピオンになりながら
観客からブーイング

――戦い方が従来の“ストロングスタイル(強さによる実力主義を前面に打ち出した定番スタイル)”とは異なることも話題になりましたが、それはある種の狙いがあったのでしょうか?

 僕から言わせてもらうと、ストロングスタイルというものは、あくまでも新日本プロレスのイメージであって、これという実体はないんです。(アントニオ)猪木さんも含め、具体的に説明できる人は、誰一人いませんから! ただ、当時の僕は、同じようなコンテンツにしがみつくんじゃなく、根本的に何かを変えなきゃいけないという思いがありました。それがあまりに急だったので、イレギュラーな反応が起こるという結果になってしまったんだと思います。

――その流れもあってか、06年にIWGP王座初戴冠を果たしながらも、観客からブーイングを受けるという状況に直面しますよね。

 普通、チャンピオンになったら、自分の時代が来るのは当然だし、ファンから祝福を受けるのが当たり前だと思っていたら、ブーイングが起きちゃったんですよね(笑)。みんな棚橋が「チャラい」とか、「何となくいけ好かない」とか、とにかく生理的に苦手だったみたいなんです。

2018.09.21(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正
スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)
ヘアメイク=山田みずき