大きな転機となった無観客試合

――その後、ヤングライオン(若手選手)時代を経て、現在のトレードマークである長髪姿にされるわけですが、なぜ長髪にしたのでしょうか?

 僕は長州(力)さんたちに憧れていた世代ですから、「レスラーは長髪がカッコいい」と、解釈をしていたからです(笑)。レスラーは個性が大事だと思いますし、とにかくファンの方に覚えてもらわなくてはいけない。当時の僕はとにかく個性がなく、印象が薄かったので、どこかでインパクトを付けたかったんですよね。

――その後、大きな転機となった試合を教えてください。

 04年の「KING of SPORTS」で、村上和成選手と金網マッチをしたときです。レスラーとして、勝ってうれしい、負けて悔しいといった感情の次に、お客さんの歓声も試合の手応えなんです。それがまったく得られないときは、次の試合まで、ずっと凹むんですよ。その日は、なぜか観客もレフェリーもいない隔離された場所での試合だったこともあって、まったく手応えがなかったんです。そのとき、先輩の後藤達俊選手に「自分が精一杯やれたんだったら、胸を張れ!」と言われ、その日以来、「どれだけの熱量で、自分が精一杯やれたか」という基準ができました。

2018.09.21(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正
スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)
ヘアメイク=山田みずき