Vol.015 聖書(バイブル)|岡村靖幸
「贈りものバイブル」と銘打ってはいるが……
こんにちは。最近になってようやく一度もつっかえることなく「ラ・メルヴェイユーズ・ラデュレ」と言えるようになった男、CREA WEB編集長のヤングです。うれしいので忘れないうちにもう一回言っておく。ラ・メルヴェイユーズ・ラデュレ。
現在発売中のCREA1月号の第一特集は、「贈りものバイブル」。毎年恒例となった、押しも押されもせぬ名物企画である。
素晴らしい。これを読めば、ますます人間関係が円滑になりそうだね! 問題は、極端な人見知りである自分の交際範囲がごくごく狭く、友人と呼べるような人間もあまりいないため、贈りものを与える相手が思いつかないことだが……。
という風に自己嫌悪に陥り始めたので、毒を吐いてデトックスすることにしよう。この「贈りものバイブル」には、「贈りもの」に関しては質量ともに驚くほど充実した情報が載っている。しかし、一方の「バイブル」に関してはどうだ? なおざりにされてはいないか? 誌面のどこを見ても、バイブルなぞ扱われていない。何だこれ。責任者呼べ!
以上のように難詰するメッセージをLINEでCREA編集長に計30回ぐらい送ったが、すべて既読スルーである。彼女は俺とは同期入社なので数少ない友人のひとりだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。こうしてまた、ただでさえ狭い世間がさらに狭くなっていく。
しょうがないので、俺が聖書の魅力についてここで懇切丁寧に説明しようとしたが、これまで一切キリスト教系の教育機関に通うことなく馬齢を重ねてきたので何も知らない。ちなみに実家は曹洞宗の檀家だ。
そもそも、アダムとイヴと聞いても即座にアダム徳永とイヴちゃんのことが頭に浮かんでしまうぐらいに敬虔という言葉からはほど遠い男だ。そんな俺が、自分の人生において触れてきたかけがえのないバイブルを何とかかんとか紹介してみるよ!
さあ、バイブルを贈りものに!
2016.12.04(日)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋