女子プロきっての人気タッグが歌った名曲

「炎の聖書」は、作詞・森雪之丞、作曲・後藤次利、編曲・松下誠という豪華な作家陣によるケレン味に満ちた名曲。一人称は“俺達”、口調も完全に男だ。気合を入れたい朝、俺はヘッドフォンからこの曲を脳内に注入しながら出社している。

 そしてもうひとつのバイブルが、クラッシュギャルズの「炎の聖書(バイブル)」だ。

 言わずと知れた女子プロレス界のスーパースター、長与千種とライオネス飛鳥が、歌謡界に殴り込みをかけた1984年のデビューシングルである。

 関係ないが、サマーソニック2015では、アンチクライスト・スーパースターことマリリン・マンソンが聖書を燃やすというパフォーマンスを披露していた。ことのついでに「炎の聖書」をカバーしたらぴったりだった。

 この駄文を書き連ねる過程で、クラッシュギャルズが「CHIGU and ASKA」と改名したら面白いのに……などとキーを打っていたら、たった今、ASKAが逮捕されるとのニュースが報じられた! びっくりした! 俺はいつもこういう風に予知能力めいたものを無駄に使ってしまう。

 話を戻す。誰も望んでいないかもしれないが、せっかくの機会だから、俺が集めてきたクラッシュギャルズのシングルを紹介していくことにするよ。

2枚目のシングルは「嵐の伝説(レジェンド)」。歌詞カードの片隅で写真集が宣伝されているのだが、その書名が『ほほ笑み スリーカウント』。分かったようで分からないタイトルだ。
「東京爆発娘!」というから、オウム真理教の“走る爆弾娘”を先取りしたタイトルかと思ったがたぶん違う。B面の曲名は「HEALTHY」。何だかずいぶんちぐはぐだ。
「日本美人(Hey JAPANESE!)」とはこれまた大きく出やがったな。作詞は売野雅勇、作曲は林哲司、そして編曲は鷺巣詩郎。つまり、河合奈保子の「デビュー~Fly Me To Love」、菊池桃子の「Nile in Blue」といった名曲と同じ座組みである。
「イッキにRock'n Roll」は6枚目のシングル。あとは、「夢色戦士」「サイコー!ワンダーランド」「BEAT GOES ON」を揃えればシングルはコンプリートとなる。頑張る。

2016.12.04(日)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋