Vol.014 リックサック|レピッシュ

ラグジュアリーなバッグと旅に出たいが……

第一特集は「未知なるスイス」。富裕層の読者のみなさんは、スイス銀行の預金を下ろして一気に100冊ぐらい買おう!

 こんにちは。最近になってようやく一度もつっかえることなく「エルメネジルド・ゼニア」と言えるようになった男、CREA WEB編集長のヤングです。もう一回言う。エルメネジルド・ゼニア。

 現在発売中のCREA Traveller秋号の第一特集は、「未知なるスイス」。その後に掲載されている小特集が、「新しいニッポンに新しいバッグを!」である。

 「TRAIN SUITE 四季島」「星のや東京」といった華麗なホテルや寝台列車を舞台に、ルイ・ヴィトン、プラダ、グッチ、リモワ、グローブトロッターといった憧れの錚々たるハイブランドのラゲッジが、お洒落この上ないスタイリングとともに紹介されている。

「新しいニッポンに新しいバッグを!」の誌面より。こんなバッグと一緒に出かければ、ワンランクもツーランクも上の旅が楽しめるね!

 素晴らしい。素晴らしすぎる。ラグジュアリーな旅に似合うラグジュアリーなバッグを。CREA Travellerにぴったりなコンセプトだ。ぜひ、CREA WEBも真似してみたい。……が、今さら後追いで模倣しても芸がないだろう。

 ということで、ここでは、逆転の発想として、リュクスな旅行に最も似合わないバッグは何かを追求することにしたよ! 名付けて、「輝く!旅に似合わないバッグ大賞」!

 そんなわけで、目をつぶって考えをめぐらせる俺の脳内に、さまざまなバッグに関する思い出が去来する。

 ロス疑惑でおなじみ故・三浦和義元社長がハンティングワールドのバッグを愛用していたこと、現ボストン・レッドソックスの上原浩治投手が紙袋にパンパンの荷物を詰め込んで巨人軍の独身寮に入ったこと、そして、猪瀬直樹元都知事が都議会で汗をかきながらカバンに5000万円が入るか入らないかをシミュレーションさせられたこと……。

センテンススプリングが火をつけた「ロス疑惑」でおなじみの三浦和義元社長(左から2人目)。あいにくストラップしか見えないが、このショルダーバッグは9割9分ハンティングワールドだ。
巨人軍に入団した1999年に撮影された上原浩治投手。大リーガーとなった今は、さすがに紙袋じゃなくてもっといいブランド物のバッグを使っていることだろう。いや、高級志向になっても初心はある意味変わらず、サックス・フィフス・アヴェニューとか、バーグドルフ・グッドマンとかの紙袋を使ってたりして。
2013年の都知事辞任会見における猪瀬直樹氏。深夜のBSあたりのテレビショッピングにゲスト出演して、「このバッグ、5000万円もお金が入るんですよ!」とかやってほしい。

 そんな出来事をリピートしながら、コンビニで買ってきたいいちこのボトルを2本ほどすっかり空にした泥酔状態で、ようやく正解らしきものにたどり着いたよ。

2016.11.23(水)
文・撮影・イラスト=ヤング
写真=文藝春秋、共同通信