さあ、海外旅行に最も不似合いなバッグは?
リュクスな海外旅行に最も似合わないバッグ、それは、日能研の通学バッグ、いわゆる「Nバッグ」です!
青地に「N」の字がデカデカとあしらわれたバッグを堂々と肩に背負いながら、アマンリゾーツにチェックインし、コペンハーゲンのノーマで食事を楽しみ、そして、このバッグをアクアラング代わりにモルディブあたりの海中にダイビング……。どう考えても不似合いだ。
えーと、一応留保を付け加えておきますが、通塾生向けバッグとしての機能性の高さはかねてより仄聞しております。ここでは、あくまでもTPOに関する話をしております。
……とか何とか書き連ねていた俺に、即座に居住まいを正して土下座せねばならない死刑宣告レベルの情報がもたらされた。
「日能研 バッグ」というキーワードを打ち込んで検索していたところ、ここ数年、日能研のバッグはお洒落アイテムとして注目を浴びているらしいことが分かった。何でも、原宿ファッションのカリスマであるあのきゃりーぱみゅぱみゅも手に入れ、SNSに日能研のNバッグをしょった姿を誇らしげに披露しているというではないか! にんじゃりばんばん! つけまつける!
すいません! ファッショニスタでも何でもない一介の地方出身の半可通のくせに調子に乗りすぎました! 身のほど知らずに斜め上の目線から印象批評レベルの感想文を得意げに書き散らしてしまいました! 今後は、シカクいアタマをマルくします!
日能研のバッグ最高! 俺はこれから、ニューヨークのフィフスアヴェニューを、パリのシャンゼリゼ大通りを、日能研のバッグを背負って歩くことを誓います! 依頼さえあれば、パリコレのランウェイだって歩きます!(例:桂由美のブライダルファッションショーなど)
ということで、俺の考える「海外旅行に似合わないバッグ」は澎湃として沸き起こった世論によって完膚なきまでに否定されたわけだが、まだ隠し玉がある。
このバッグはどうだろう?
2016.11.23(水)
文・撮影・イラスト=ヤング
写真=文藝春秋、共同通信