草刈正雄は永遠のハンサム
加藤一二三はリアルゆるキャラ

65歳にしてノリに乗っている草刈正雄。彼の代表作と問われれば、近年のNHK大河ドラマ「真田丸」真田昌幸役の他にも、映画『復活の日』『汚れた英雄』など数多思い浮かぶ。私にとってのベストワンは「世にも奇妙な物語」の「ズンドコベロンチョ」(1991年)である。

 そんな不安だらけで言いたい事も言えないポイズンな昨今だが、それを笑い飛ばしてくれる元気なオジジ達が自らの体を張ってくれ、おおいに救われている。

 2016年から引き続き、2017年も私たちを癒してくれたのが草刈正雄。「世界の果てまでイッテQ!」でイモトアヤコを「イーモートー!」とオーバーアクションで励ましている姿。あれが、経験値とユーモアを兼ね備えた包容力という彼の魅力の全てを表している。

 そしてなにより草刈正雄は「イケメン」ではない「ハンサム」。このハンサム種ハンサム科ハンサム属の俳優、最近やっと新田真剣佑という後継者が現れホッとしているものの、時代の変化とともに少なくなっており、絶滅危惧種といっていい。

 草刈正雄は今年芸歴47年にしてファースト写真集を発売。売れ行き好調というが、当然の結果といえよう。その顔、その佇まい、そして天然な性格を存分に生かし、一生現役でいてほしい!

「ひふみん」こと加藤一二三元名人。若かりし頃はとてもキュートな美少年だったと母から聞き、検索してみたら、確かになかなかの美少年であった。

 そして草刈正雄とは別ベクトルで、ゆるキャラの如く可愛さでお茶の間を和ませてくれたのが「ひふみん」こと加藤一二三元名人。

 若者の悪ふざけに「ハイハイどうぞどうぞ、どうにでも料理して」と自らまな板の上に乗る姿勢は達観の域。将棋界の頂点を極め、ほかは何をされようが自分を失わない自信があるからだろう。カッコよ過ぎるぜ、ひふみん!

数々のワイドショーに引っ張りだこだった梅沢富美男。グランドフィナーレを迎えた第50回日本有線大賞日本有線大賞の司会にも抜擢。「夢芝居」は名曲だが、最近メロディーからかなりずらして歌うので、あれはやめてほしい。

 草刈正雄やひふみんとは別ベクトルで「動じなさ・しなやかさ」を見せつけてくれたのが、梅沢富美男。

 数々の不倫報道に「認めるのが大事」「昔は会見が上手な芸能人が多かった」と経験者ならではの意見を披露し、さらに自らのオイタをガンガン披露。男と女は操りつられ糸引き惹かれ、恋にけいこ不足はつきものサ……と笑い飛ばす豪快さ。自虐&毒舌という半ばヤケッパチかつ絶妙なトークで、ワイドショーに新たな風を吹き込んだ。

2017.12.29(金)
文=田中 稲
写真=文藝春秋